553：ギャルとハイエナ ページ3
耳元のピアスを揺らして、直哉は至極愉快そうに笑ってみせる。
「解呪したからって、イキって半端な連中送り込んだんやろな。アホやわぁ、本当。皮肉言ってやる気にもなれへんわ」
「どちらの味方な訳です。あんなハイエナ」
直哉の後ろを歩く女中の声は、彼らが歩く廊下に負けず劣らずという程冷えていた。
至極気に入らないと。
それもそうだろう。
彼女は、自分の娘に自由を教えてしまったから。
禪院家に生まれた女が持ってはならぬものを。
だが、当の訊ねた直哉にとってそんなのは知った事でない。
「Aちゃん」
彼は即答する。
「より強い遺伝子囲うなんて当たり前の話やん。全然わかってへんな。頭良いで、あの子。東京がこないなって、一番最初にした事が五条家所有の呪具倉庫開けた事やろ」
禪院家が、機能不全に陥った五条家所有の呪具倉庫を抑えようと動いた頃には、既に倉庫はもぬけの殻であった。
御三家所有の何千、いや数億と単価の着く呪具を無断で持ち出したわけだ。
横取り。だから、ハイエナ。
「それと、ハイエナは実際自分から喧嘩売りにいくような生物じゃないで。社会性が思うてるより高いし、仲間同士協力する特性もある。それに、獲物は自分で狩ることの方が多い」
詳しいやろ、得意気な顔で言ったあと直哉は「こういう時のためやねん」と喉奥で笑って付け足した。
性格の悪い男。女中は目の前の背中から目を逸らし、当たり障りのない相槌を返す。
知識ではなく、女を躙る為だなんて。
「Aちゃんは、元々術式なんてオマケみたいなもんやねん。本来は呪具使いや。術式が無くなれば、最も効率のいい対抗手段は呪具を用いること。呪具使いのAちゃんがその手段を取るなら…」
直哉は嬉しそうに瞳に弧を描かせる。
「暫くは誰のものにもならん」
その彼の背を、女中は冷めた瞳で眺める。
憎しみよりも先を歩く諦め。
「あ、せやった。で、死んだん？」
真依ちゃん。
女中は直哉の訊ねに淡々と「今は当主の心配を」と返す。
「それと、真依ではなく死にかけてるのは真希です」
「そうなん？ほなええわ」
軽薄さとドス黒さ。
一切の心配もない口調で述べる直哉にとって、目下彼の興味はAにしか注がれていない。
それが目に見えて分かることが、女中の奥底で屈服させられ閉じ込められた憎しみを燻らせる。
「真希ちゃんは男を立てられへん。その点、真依ちゃんは自分が心底女なことを理解しとる」
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鼻毛太郎(プロフ) - コメントありがとうございます！！完結する…のか…？と半ば本人が思っておりますが、パワーで何とか！終わらせます！！笑笑こちらこそ、今後もよろしくお願いいたします！！🙌😭🙇♀️ (3月16日 20時) (
レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
だあれ(プロフ) - 1話から全部読んでます！！完結するのを楽しみしています。これからもよろしくお願いします（^人^） (3月16日 17時) (レス) @page50 id: 50e5576588 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - shinox2さん» 早いもので、正確に言うと今年の11月で4年目になるらしいです。どんだけ書いてんだよと思ってます😂 そんな本作ですが、本誌が今年で終わるというのでついに完結をうちも迎えるかもという…感慨深いものです…。ぜひぜひ、最後まで着いてきてくだされば嬉しいです！！ (2月2日 8時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 12章完結おめでとうございます!!もう3年ですか?!そんなに経ってる気がしないです笑。呪術本誌追えてないですけど、鼻毛太郎さんの作品は追って行きます!!! (2月2日 0時) (レス) @page50 id: 9a8c06c139 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 無印さん» マインドに関しては五条をも凌駕する最強ギャル堪能して頂き誠に感謝です😭🙌混沌とする本編、まだまだギャルのギアは上がり続けるのでぜひお楽しみに！！🤍 (11月9日 8時) (レス) @page19 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鼻毛太郎
| 作成日時：2023年9月25日 8時
