568:ギャルと人身売買 ページ18
なぁ、Aちゃん。
甘ったるい声音で呼ぶ。
「大事な恵君が当主になるなんて嫌やんな。俺も嫌や。拒否権ないんやで、可哀想。人身売買やん」
大袈裟に直哉は眉を下げて述べたあと、でもなと言葉を続けた。
「その契約を破棄する為にはAちゃんの首が必要やねん」
Aの頬を撫でていた手を滑らせて、直哉はAの唇に触れる。
「きっと、皆Aちゃんの首取りに来るで。特級呪詛師やし、Aちゃんの首取る口実が堂々と出来たんやもん。そら、昔のAちゃんなら全員返り討ちやろうけど、今はとてもじゃないけど無理やん」
俺の術式も避けれんくてこのザマやし。
直哉は厭らしく鼻で笑ってみせる。
「だから、この際俺が匿ったろ思って。大丈夫、心配いらへんよ。Aちゃんと子供作ってしまえば誰も手出せへんから。Aちゃん、可愛いから俺が守ったらんと」
親指の腹でAの唇を弄び薄ら笑いを浮かべる姿に、脹相は眉を顰める。
何を言ってるんだこの男は。
呪霊と人間の半端さを等しく持ち合わせる自分だが、目の前の男の言葉は明らかに継ぎ接ぎで支離滅裂であることを理解していた。
あの男が可借夜Aに向ける異常に歪んだ感情は、一体なんなんだ。
「絶対大丈夫やから。なぁに、暫くウチの地下室で生活してもらうけど、まぁええよね」
喉の奥で笑う直哉。
Aの唇から親指を逸らし、そのまま口の中に入れると舌に触れる。
ぬるりとした感触。涎が直哉の親指を濡らし、伝い、Aの下唇を濡らす。
嫌悪感に顔を歪めるAの表情を前にして、直哉は瞳にゆるりと弧を描かせた。
「なぁ、Aちゃん。俺のお嫁さんになってや」
征服感と加虐心。
今彼の心を満たすのはその二つである。
自分勝手にAへ欲望と思想を押し付けようが、彼の良心は痛まない。
自分が気持ちいいならそれでいい。相手がどうとかは関係ない。
その彼の外道っぷりに、脹相は嫌悪を抱かずにはいられない。
あの口ぶり、可借夜Aを殺す気はなさそうだがしかし、それ以前に問題がありすぎる。
不穏な空気立ち込める中、今までただされるがままだったAが口の端をゆるりと吊り上げた。
「直哉クンのえっち」
ギョッとする直哉。
そして、Aは間髪入れず、口内に突っ込まれたままであった彼の親指にがぶりと噛み付いた。
「…っ!!?」
途端に駆け巡る痺れた痛みに、直哉は急いで手を引き抜く。
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鼻毛太郎(プロフ) - コメントありがとうございます!!完結する…のか…?と半ば本人が思っておりますが、パワーで何とか!終わらせます!!笑笑こちらこそ、今後もよろしくお願いいたします!!🙌😭🙇♀️ (3月16日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
だあれ(プロフ) - 1話から全部読んでます!!完結するのを楽しみしています。これからもよろしくお願いします(^人^) (3月16日 17時) (レス) @page50 id: 50e5576588 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - shinox2さん» 早いもので、正確に言うと今年の11月で4年目になるらしいです。どんだけ書いてんだよと思ってます😂 そんな本作ですが、本誌が今年で終わるというのでついに完結をうちも迎えるかもという…感慨深いものです…。ぜひぜひ、最後まで着いてきてくだされば嬉しいです!! (2月2日 8時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 12章完結おめでとうございます!!もう3年ですか?!そんなに経ってる気がしないです笑。呪術本誌追えてないですけど、鼻毛太郎さんの作品は追って行きます!!! (2月2日 0時) (レス) @page50 id: 9a8c06c139 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 無印さん» マインドに関しては五条をも凌駕する最強ギャル堪能して頂き誠に感謝です😭🙌混沌とする本編、まだまだギャルのギアは上がり続けるのでぜひお楽しみに!!🤍 (11月9日 8時) (レス) @page19 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2023年9月25日 8時