565:ギャルと敵か味方か ページ15
半ば呆れたよう、それでも半分はやけに楽しそうな様子で直哉は呟く。
Aにカウンターを与え損ねた直哉は、行き場を失った拳を脹相に向けた。
受身を取る暇もなかった脹相の顎下に、モロに直哉の拳が叩き込まれる。
「君は邪魔やねん。俺が用あるんはAちゃんだけや」
脳が揺れ、瞳の焦点が合わない脹相に対して、直哉は相変わらずの軽口で言う。
ガクガクと震える足でなんとか脹相は体勢を立て直そうとするのだが、体が言うことを効かない。
まるで脳の信号が一気に狂ったみたいだ。
「直哉クン酷くねぇ?そんなパワーで私の事殴ろうとしてたのかよ。こわぁ〜」
「はは、Aちゃんよう言うわぁ。当たり前やん、好きな女の子殴ってみたいなんて全男共通で思てるやろ」
「ウケる〜 私に一度も勝ったことねぇから、DV男のふりしようとしてる〜 ぷーくすくす、Aちゃんに勝ちたいって一言言えばいいじゃん」
直哉クンかぁいい♡
Aが瞳に弧を描かせ笑う。
それのなんと邪悪で腹立たしいことか。
ピキピキと直哉のこめかみに青筋が浮かぶ。
あのクソ女、絶対靴の裏舐めさせたるからな。
そんな明らかに温度の違う二人を前にして、脹相はまだ揺れが収まらぬ頭で思う。なんなんだこの二人は。
脹相はぐり、と掌でこめかみを押して、なんとか正気を保とうとしながら二人の間に言葉を挟んだ。
「可借夜A、お前は一体味方なのか?敵なのか?」
脳裏に浮かぶのは、数日前の頭を下げたAであった。
自分が一番心身ともに疲弊しているというのに、それを置いて悠仁を想い、俺に託したあの女は。
目の前のAに今一度目を向ける。
本当に目の前の女はあの時と同じ人間なのか。
Aは、掌を何度か閉じたり開いたりして、合金のグローブの動きを確認しながら「味方か敵か?」となんてこもないような口振りで述べる。
「そりゃ私が味方と思えば味方だし、私が敵かと思えば敵ってことになる。分かる?私の匙加減ってことさ」
Aの言葉に、直哉が「相変わらず無茶苦茶やな」と呟く。
思えば、自分に頭を下げたことで完全に上塗りされてしまっていたが、そういえば渋谷駅地下で突然この女がやってきた時は悪魔かと思ったなと。
そうだった。根は五条悟も大概だがこの女の方が相当だった。
「なるほど。要は、自分で示せということか」
その為には、Aと拳を合わせるしか手段はないと。
Aは瞳に弧を描き、「そゆこと」と言葉に軽薄さを滲ませた。
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鼻毛太郎(プロフ) - コメントありがとうございます!!完結する…のか…?と半ば本人が思っておりますが、パワーで何とか!終わらせます!!笑笑こちらこそ、今後もよろしくお願いいたします!!🙌😭🙇♀️ (3月16日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
だあれ(プロフ) - 1話から全部読んでます!!完結するのを楽しみしています。これからもよろしくお願いします(^人^) (3月16日 17時) (レス) @page50 id: 50e5576588 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - shinox2さん» 早いもので、正確に言うと今年の11月で4年目になるらしいです。どんだけ書いてんだよと思ってます😂 そんな本作ですが、本誌が今年で終わるというのでついに完結をうちも迎えるかもという…感慨深いものです…。ぜひぜひ、最後まで着いてきてくだされば嬉しいです!! (2月2日 8時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 12章完結おめでとうございます!!もう3年ですか?!そんなに経ってる気がしないです笑。呪術本誌追えてないですけど、鼻毛太郎さんの作品は追って行きます!!! (2月2日 0時) (レス) @page50 id: 9a8c06c139 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 無印さん» マインドに関しては五条をも凌駕する最強ギャル堪能して頂き誠に感謝です😭🙌混沌とする本編、まだまだギャルのギアは上がり続けるのでぜひお楽しみに!!🤍 (11月9日 8時) (レス) @page19 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2023年9月25日 8時