561:ギャルと論外の男 ページ11
____。
「悠仁」
脹相に声をかけられ、虎杖は現実に戻った。
Aと離れて恐らく一週間と少しが経過した。
「大丈夫か?」
「あぁ、うん。ちょっと考え事してた」
虎杖はなんてことないように返す。
Aとは、あの会話を最後に会っていない。
消息も分からない。一体、今はどこで何をしているんだろうか。
「次の場所に行こう、脹相____、」
考えている暇なんて今はないんだから。
虎杖はかぶりを振って思考を切替えた、刹那。
「あれ、恵君もAちゃんも居らんやん。まだ東京居るって噂聞いたんやけど、デマだったんかな」
脹相と虎杖は弾かれたように振り向いた。
高架柵、その上で佇み辺りを見回す男。
金の頭部に黒色の毛先。和装に反したその派手な髪が妙に印象的だ。
誰だこいつ、今伏黒とAの事言ってたか?
突然現れた男の姿に、見上げる二人は警戒心を抱く。
すると、今度は目線を下げて、男は二人に話しかけたのだ。
「君らも何してん。目立ちすぎやで、逃げる気ないんか」
「逃げる?」
虎杖が片眉を開く。
男は「なんや知らへんの」と続けた。
「君、悟君の後ろ立て無くなったから死刑やて。ま、正直俺が用あんのは恵君とAちゃんやから、君がどうとかはどうでもいいねんけど」
「はぁ…」
虎杖は曖昧に頷く。
なんだ、俺を殺しに来た訳じゃないのか。
「でもな、君にチョコマカされるのは面倒やし、この際足ぐらいは折っといたろかなぁって」
その時、漸く虎杖はこの男が何故自身の目の前に現れたのかを理解した。
眉を吊り上げ、虎杖は声を荒らげる。
「伏黒に何の用だよ…ッ」
「ん?」
いまいち真意が読めない、いやきっとこの男はわざと読めないような表情を浮かべているんだ。
ぎり、と奥歯を鳴らし、獣の唸りのように虎杖は更に声を上げた。
「Aに、なんかすんじゃねぇだろうな…ッ!?」
その時、虎杖は何かが自分の首筋を舐め上げたような気に突然襲われた。
ぞくり。まるで、蛇にでも舐められたような。
いや、違う。
そういう気にさせたのは、この目の前の男だ。
「君、」
冷たい、狩りをする前の狼にも似た瞳が虎杖を射抜く。
「なんや、Aちゃんになんかしたら守れるみたいな言い草やな」
蛇か獣か。
「Aちゃんにも恵君にも、ちょっと酷いことするだけやん。嫌やわぁ、死刑決まってる奴に悪者扱いされんのは」
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鼻毛太郎(プロフ) - コメントありがとうございます!!完結する…のか…?と半ば本人が思っておりますが、パワーで何とか!終わらせます!!笑笑こちらこそ、今後もよろしくお願いいたします!!🙌😭🙇♀️ (3月16日 20時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
だあれ(プロフ) - 1話から全部読んでます!!完結するのを楽しみしています。これからもよろしくお願いします(^人^) (3月16日 17時) (レス) @page50 id: 50e5576588 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - shinox2さん» 早いもので、正確に言うと今年の11月で4年目になるらしいです。どんだけ書いてんだよと思ってます😂 そんな本作ですが、本誌が今年で終わるというのでついに完結をうちも迎えるかもという…感慨深いものです…。ぜひぜひ、最後まで着いてきてくだされば嬉しいです!! (2月2日 8時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 12章完結おめでとうございます!!もう3年ですか?!そんなに経ってる気がしないです笑。呪術本誌追えてないですけど、鼻毛太郎さんの作品は追って行きます!!! (2月2日 0時) (レス) @page50 id: 9a8c06c139 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 無印さん» マインドに関しては五条をも凌駕する最強ギャル堪能して頂き誠に感謝です😭🙌混沌とする本編、まだまだギャルのギアは上がり続けるのでぜひお楽しみに!!🤍 (11月9日 8時) (レス) @page19 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2023年9月25日 8時