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004: 今日も暑い夜になりそうです ページ5

いつも通りの表情を少しだけ柔らかいものに変え述べると、彼女の琴線にでも触れたのか彼女は蓋が外れたように喋り始めた。

「私の何がダメだったのよ…っ!!好みの女の子になろうとして、頑張ってきたっていうのに…っ!!明日すらもう見えない、いや明日なんて来なければいい。」

……おっと、早速関わってはいけない気がしてきた♧

顔面に笑顔を貼り付けているつもりだったが、今自分の瞳はおそらく死んでいるだろう。
次々と溢れ出る愚痴に、空気がずんっと重くなるのを感じる。

「…ボク、いない方がいい?」

「わあぁぁぁ!だめッ!!行かないで、ここに居て、一人にしないで!!…じゃなきゃ私きっと明日の朝にはここで死んでるわよ…孤独で。」

ボロボロと涙を流しながら、彼女はボクの肩を両手で掴みぐわんぐわんと揺らす。
やめて、脳みそ出ちゃうから♤

殺しは好きだが、勝手に死なれるなんて。なんて後味の悪い脅しをするんだこの女…
ここまで縋って引き止められれば、さすがの美人も台無しである。

彼女は泣きすぎて赤らんだ瞳を擦り、鼻を啜る。

「いっそトびてぇ…強いお酒で何もかも忘れたい…」

彼女はため息交じりに呟いた。

これ以上彼女に関わりたくない気持ちもあった。
だが、心の片隅で何故か彼女と居てあげないと…そんな気持ちがくすぶり始めていた。

「事情、聞いてもいいかな…?」

なんて聞いた時には、ついに自分も焼きが回ったなと呆れてしまったぐらいだ。

彼女はそう聞くと、顔を上げた。
困ったように下がり眉の下で、赤らんだ瞳がボクの瞳を見つめる。

「…いいんですか?でも…いいなら、聞いて欲しいです。誰かに聞いてもらわないと、きっと私一生引きずることになる…。1日だけ、今日、この夜だけでいいんです…!お酒、つきあってくれませんか…?」

前のめりになり、あまりにも必死に懇願してくる彼女に負け、ボクは考えるまでもなく「ボクでいいならね♢」と口を開いていた。


なんだかんだで、ボクも男だな…♤






彼女は、店に入ってから暫くは泣いていたと思う。

男の隣で、ハンカチを顔にあて泣く女。
その姿に、店員は訳ありな二人なのだと思った様で、気を遣いボク達をカウンターの奥に通した。
勘違いされたとはいえ、彼女の方は正真正銘の訳ありではあるので、結果的には正解だろう。

彼女を壁側に座らせ、その隣に腰を下ろす。

注文を聞きに店員が訪れると、彼女は短く「一番強いやつ」と掠れた声で述べボクも同じ物を頼む。

005: ヤってから殺る→←003: 殺人鬼の信憑性



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鼻毛太郎(プロフ) - りささん» コメントありがとうございます!🙌これから読み始めるという段階でしょうか、長いシリーズですので暫くの暇潰しになって頂ければ幸いです😌ちなみに私は書いておきながら、覚えておりません!笑 そんな作者ですが、是非お付き合い頂けるとありがたいです! (2月19日 23時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 私のところはかあさんのお腹の中から来るのよって言われました。生々しい、、、 (2月19日 23時) (レス) id: 53f4f6e8f1 (このIDを非表示/違反報告)
みな - 赤ちゃん、、私は親に聞いたら「ん?掃除機からぽんっ!!ってうまれたよ」って言われました。(うちの親おたまがおかしi(( (2020年12月1日 17時) (レス) id: f5cf3e679c (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ゆゆさん» よくお分かりで…!いつか気づく方が出てくるだろうなと心待ちにしていたのですが、ついに…思わず「きた…!」と言ってしまいました。お分かりの通りとても、、、好きです、、、 (2020年10月10日 23時) (レス) id: 2a028e4c13 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 主さんさてはジョジョ好きですね? (2020年10月10日 20時) (レス) id: 861ee0d781 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2020年5月24日 15時

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