034: いいよ、君にできるならね ページ35
ただ、ここまで分かる通りAに興味があるというのは確実だろう。
「芋虫は…追尾。だとしたら、芋虫が殺された事、私が生きているという事に気づいたはず。」
殺し屋はAを探し始める。
二人は顔を合わせた。
「向こうがその気なら、ぶちのめすまでよ。」
突然、Aが言葉を述べると同時ベッドから降り始める。
まさかそこまで早く行動に出ると思っていなかったヒソカは、「A!?ちょっと待とうか?」と彼女の腕を掴む。
「ヒソカ君悪いけど離して。」
「君、馬鹿なの?普段は冷静な君が、ここまで取り乱すのは変だ♢悪いけど、その傷じゃあ行かせられない♤」
「…力づくでも行く」
「いいよ、今の君に出来るならね」
Aは奥歯を噛みしめ、拳に力を込めた。
ヒソカは動かない。静かに、片手でAの腕を掴んだまま待っている。
殴ってみなよ。
ボクはそれでも君を止めるけど。
今の自分が相手と対面すれば、確実に死ぬ。次はない。
そんな事は本人であるAが誰よりも分かっている。
けど、でも___
Aは拳を振りかざした。
その拳は、正面から確実にヒソカの胸に当たる。
けれど、その拳に力は籠もっていなかった。
「…くそ、本当、ヒソカ君って…ムカつく」
なんでこういう時に限って、貴方は私の事行かしてくれないのよ…ッ
悔しくて堪らなかった。幼少の頃からずっと一緒だったのだ。
いつだって、『エデン』は自分のそばに居たというのに。
負けて、奪われて、一方的すぎる。
「うん…そうだね…♢」
目の前のAの背に腕を回し、宥める様に彼女を抱きしめる。
背を撫でてやると、感情の糸が解けたのかAは静かに泣いた。
顔を見られたくないのか、ヒソカの胸に顔を埋め悔しさに耐える様彼の衣服をぎゅっと握る。
何度だって、彼女の使う『エデン』の能力を見てきた。
念能力にそこまでの感情を抱くなんて、誰が見ても大袈裟だ。
まるで家族でも人質に取られたかのような__。
でも、Aにとっては泣くほど大事な能力なのだ。
彼女が落ち着くまで、側に居てやると暫くしてからAがポツリと言葉を零した。
「…ヒソカ君、ありがと…今は、治す事にする…」
拗ねた子供のように言葉を発するA。
大人びたAから出てきた言葉とは思えず、ヒソカは可笑しさに喉で笑うと「今の君じゃ、ボクにすぐ食べられそうだもんね♤」と返す。
すると、Aは恥ずかしそうに「う、うるさい…」と言葉を返したのであった。
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鼻毛太郎(プロフ) - りささん» コメントありがとうございます!🙌これから読み始めるという段階でしょうか、長いシリーズですので暫くの暇潰しになって頂ければ幸いです😌ちなみに私は書いておきながら、覚えておりません!笑 そんな作者ですが、是非お付き合い頂けるとありがたいです! (2月19日 23時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 私のところはかあさんのお腹の中から来るのよって言われました。生々しい、、、 (2月19日 23時) (レス) id: 53f4f6e8f1 (このIDを非表示/違反報告)
みな - 赤ちゃん、、私は親に聞いたら「ん?掃除機からぽんっ!!ってうまれたよ」って言われました。(うちの親おたまがおかしi(( (2020年12月1日 17時) (レス) id: f5cf3e679c (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ゆゆさん» よくお分かりで…!いつか気づく方が出てくるだろうなと心待ちにしていたのですが、ついに…思わず「きた…!」と言ってしまいました。お分かりの通りとても、、、好きです、、、 (2020年10月10日 23時) (レス) id: 2a028e4c13 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 主さんさてはジョジョ好きですね? (2020年10月10日 20時) (レス) id: 861ee0d781 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2020年5月24日 15時