032: 暗殺者と顔のない依頼人 ページ33
ベッドに力なく横たわるAが口を開いた。
「依頼主は、私と一度も顔を合わせなかった。」
「というと?」
ヒソカは血みどろのシーツ、ベッドの端に腰掛け尋ねる。
ヒソカは知っている。
Aは、ゾルディック家の中でも珍しく依頼主と必ず顔合わせを行い依頼を受けるのだ。
それは、彼女が暗殺の業界で確実な地位を築いていく、女だからと足下を見られないための手段である。
Aは、まず自身の技術と暗殺者としての礼儀を依頼主自体に覚えさせる。
ヒソカが問うと、Aは”今回の出来事”を語った。
「顔を私に見せたことがあるのは、屋敷のメイドだけ。…一度目の顔合わせは、一週間前の18時頃だったかしら…」
「随分正確だね♤」
「屋敷のメイドが、懐中時計を『時間通りにおこしですね』って見せてきたのよ。」
メイドに屋敷を通される時、まるで絵画のように飾られた皮膚や臓器を眺めAは客間へと通された。
恐らく、依頼主は人体収集家で間違いないだろう。
そして、Aが依頼主の姿が見えない事に気づき問うと、メイドはこう言った
「依頼内容はご存知ですね?」
Aは頷き、「自分を狙う者の暗殺でしたね」と返す。
「ええ。主人は今、お客様に対しても大変警戒なさっております。勿論、A様とて例外ではございません。失礼を承知の上ですが、ご主人様はA様と対面なさる事はないと思われます。その為、使用人であるメイド__私が代理でお話させて頂きます」
「顔のない依頼人…って事か…♢」
その時点で胡散臭いとヒソカは顎を撫でる。
「仕方がないし了承したけど、屋敷内に入った時から妙な視線を感じていてね。すぐに円を行ったわ」
得意じゃないんだけどね、と付け足しながらAは話す。
嫌な視線だった。
ねっとりと絡みつくような視線。
この屋敷内にメイド以外の誰かがいる事をAは感じた。
円を行い人間の気配を探ると、屋敷には自分以外に二人の人間がいることが分かった。
この視線は、もう一人の誰か____依頼主だろうか。
その日の顔合わせは、時に何かあるわけでもなく普通に終わった。
相変わらず顔を出さない依頼主に違和感を感じつつ、Aは二度目の顔合わせの日を待つ。
そして、その日を境に変わったこともあった。
何者かが自分の周りを嗅ぎ回っている。
「それで、二度目の顔合わせ…今日の出来事か…♧」
Aは頷き、語る。
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鼻毛太郎(プロフ) - りささん» コメントありがとうございます!🙌これから読み始めるという段階でしょうか、長いシリーズですので暫くの暇潰しになって頂ければ幸いです😌ちなみに私は書いておきながら、覚えておりません!笑 そんな作者ですが、是非お付き合い頂けるとありがたいです! (2月19日 23時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 私のところはかあさんのお腹の中から来るのよって言われました。生々しい、、、 (2月19日 23時) (レス) id: 53f4f6e8f1 (このIDを非表示/違反報告)
みな - 赤ちゃん、、私は親に聞いたら「ん?掃除機からぽんっ!!ってうまれたよ」って言われました。(うちの親おたまがおかしi(( (2020年12月1日 17時) (レス) id: f5cf3e679c (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ゆゆさん» よくお分かりで…!いつか気づく方が出てくるだろうなと心待ちにしていたのですが、ついに…思わず「きた…!」と言ってしまいました。お分かりの通りとても、、、好きです、、、 (2020年10月10日 23時) (レス) id: 2a028e4c13 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 主さんさてはジョジョ好きですね? (2020年10月10日 20時) (レス) id: 861ee0d781 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2020年5月24日 15時