【イケメン幕末】１本の桜の木の下で【土方歳三】

19：呼び方 ページ22

快く了承してくださった副長と共に、


あの桜の木へと向かう。


A(そう言えば、初めて副長と桜を見に行った日も、こんな夕暮れだったっけ。)


と、数日前の事を思い出していると…


土方「…なぁ。」


A「は、はいっ？」


突然話し掛けられ、少しだけ声が上擦ってしまった。


土方「…そんなに驚かなくてもいいだろ。」


ふっ、と笑いながら話を続けられた。


土方「前から思ってたんだが…何で俺と近藤さんだけ、役職で呼ぶんだよ。」


何で、と聞かれても…


A「意味は無いですよ？ただ、目上の方なので…」


土方「…芹沢は？」


A「鴨さんは、親戚っていうのもありますし…。


最初の頃は役職で呼んでいましたが、鴨さんから辞めろって言われたので。」


そう告げると、


うーん…と何か考えるような顔をした後、


土方「じゃ、俺もだな。」


A「えっ？」


土方「役職で呼ぶの、辞めろ。」


何故か熱が篭ったような視線を送られ、


またも鼓動を高鳴らせながらも…


A「えっと…じゃあ、土方、さん。」


土方「ん。」


満足そうにニンマリとした笑顔が向けられ、


更に心臓が煩くなる。


A「じゃあ…私もですね。」


副長…土方さんの言葉を真似ると、


土方「…あ？」


A「私のことも、 お前 じゃなくて…名前で呼んでください。」


土方「…気が向いたらな。」


A「えっ、どうしてですか！ずるいです！」


土方「何がずるいんだよ。」笑

20：事故→←18：優しさ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す