お皿割りの天才【ナムジュン】 (ページ16)

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「そんなことがあったのねぇ」

閉店を迎えて裏に行くと、店長がシフトを作っていたので

ナムジュン先輩が今日あったことを話した。

「そのお客様、最初はAさんに怒鳴ってたんですけど、僕が来たら静かになりました」

『私、いつも提供の時は髪の毛入ってないか確認してるんですけど…

見えなかったんですかね、だとしてもあんな短い髪の毛私にはないですし』

これだけは私の謎のプライドが許さなかったので

未だにあの人がわざと髪の毛入れたんじゃないかって思っている。

「だからAちゃん、ラスト2時間調子悪かったのかー」

『あ、ミスしまくったのは本当にすみませんでした』

「ん、いいよいいよー！

今日は平日の割に忙しかったからねぇ」

ホソク先輩はそう言って笑うけれど

私にはそれは関係ないんだ、このくらいは忙しいと言えないし

あれはただ自分が引きずりすぎて周りに迷惑をかけただけだ…なのに。

「グラス1つなんて大したことないよ、ねぇナムジュン？」

「店長、貼り付けたような笑顔でこっち見るのやめてください」

「オーダーミスはユンギヒョンの方がやるしねー！」

それなのに先輩達や店長は怒りはしなかったし

その逆ですごく楽しそうに話していた。

『みなさん、優しいんですね』

気が緩んで出てしまった一言に、3人は目を丸くして私を見た。

『あ、すみません…なんかあったかいなぁここって思ったらつい』

「やー！Aちゃんやっと僕の魅力に気づいた感じぃ～？」
『それはないっす』

「今日、どうするの？」

『え？なにがですか？』

「ほら、大学からそのまま来てるし、自転車ないでょ」

ナムジュン先輩に言われてやっと気がついた

ここから歩いたらどんだけかかってしまうんだ…
自転車で1時間の距離だよ？！

『それ全然考えてませんでした…』

「あー…うーん…」

今度は変な動きし始める先輩。

頭かかえたり、足ドタバタしたり、ブツブツ何かを言ったり…

「僕の家来る？」
『あーそうしま…え？』