行かないで・・涙。(tkxin♀)涙シリーズ(１)

＝９滴＝ ページ9

「ままじゃ・なぃ・よぅ・・ふぇっ。
　う――――。」

って小さい女の子みたいに泣き出した。




俺は、慧を変な意味なんか微塵も無くて

ぎゅぅっと抱き締め包み込んで

背中をポンポンしてやりながら

「けーい、どーした？
　怖い夢でも見たのか？・・な、けーい。」

気分はちょっとパパだな、こりゃ。




慧は俺の腕の中で、しくしく泣いて

「・・ん〜〜。・・慧、さみしぃーの・・。
　ほんとはねぇ、ほんとはぁ・・一人で寝るの
　やなんだもん・・。う”〜〜。」


「そっか、寂しーのか、慧は。」


「ん。きのうは・・がまんしたけどぉ・・
　今日は、寂しくって・・むりだったの。
　ごめんなさいぃぃ、雄也くぅん・・。」


「けーい。謝んなよ、な？
　泣くなって・・。」




慧は小さくコクリと頷いて

「前まではね・・夜中に起きると・・
　ママが隣寝ててね。手をぎゅっと握って
　くれてたの。だから、安心してまた
　眠れたの・・。１７歳にもなって
　へんでしょ・・？」



「変じゃないよ、
　慧は、ママが好きなんだろ？」


「ん。すき・・。んっと、昨日も
　夜中に起きちゃってね、ママんトコ
　行こうとしたの・・。でも、宏太さん
　居るしぃ・・行けないでしょ。だから
　だからね・・。」


慧はモゾモゾと俺の腕の中で動きながら

「今日は、一人ぽっちが、がまんできなくって
　さみしくって・・雄也くんのお部屋入って
　寝ちゃったの。ご、ごめんねぇ。」



慧は起きて、俺から離れた。



俺も起き上がりながら

「いーよ、そんなの。
　慧がいいならいつでも、貸すよ、腕ぐらいさ。」



慧は、口を尖らせて、もじょもじょ。

「ん、でもぉ・・。そんなコトしたら
　雄也くんの彼女さんに悪いでしょ。
　あ、あとそうだ。さっき、ママが言ってた
　守っても、気にしないで？だってぇあんなの・・。」



「けーい。」


「な・・にぃ。」


「俺、彼女居ねーから。な？
　だから遠慮なく甘えてくれよ。
　それで、慧の事守らせて・・
　なぁ、慧。」



「・・いぃの・・？」


「いいよ、けーい。」



慧はもう一度ポロポロと涙を零して

小さな女の子みたいに言うんだ。

不安気な寂しそうな瞳でさ＿＿＿＿。



「雄也くん・・。
　ゆうや・くんは・・パパみたいに
　どっか行かないで？居なくならないでぇぇ。」




ひくひくと、しゃくり上げる度に揺れる

髪の毛をポンと撫でながら

「行くわけねーじゃん。
　俺が慧の事置いて行くと思う＿＿？」

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