人間味しかない貴方が好き② / 霊幻新隆 (ページ2)

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▼1話ページ2

｢好きって言ったら､困る？｣

ポエムみたいな告白の台詞だった｡

AA､中学1年｡
初めての彼氏は､学年で2番くらいに人気なチャラめの男の子だった｡

付き合うようになってから好きになればいい｡

当時もついこの間も､好意を抱いてくれている男性にはこう思っていた｡
私自身､それが相手に対してとても失礼な考え方だということをわかっている｡

付き合ってから､水族館､遊園地､映画館と色々なところに行ったし､その場所の最初に行った相手がその彼だということもあった｡

確かに楽しかったし有意義だった｡

毎日別れ際にはキスをした｡
中学2年の時､彼の家に行って初めて深いキスをした｡

そういうことをされる時は､特に嬉しいという感情は湧かなかった｡

『私は彼のことを好きではなかったのか』

そんなことを毎晩思い悩み､罪悪感に浸る夜も珍しくなかった｡

大学時代の恋も同じだ｡

どんなにかっこよくても､どんなにスペックが高くても､霊幻さんじゃないと意味じゃなかった｡

男の人に告白されて付き合って一緒に寝ても『この人は私じゃないといけないわけではない』と勝手に決め込んでしまい､かといって彼自体に愛着が湧くこともなく､中学生の時のように自己嫌悪に陥ることが多かった｡

でも､私は愚かだ｡

私はいつも”霊幻さんの代わり”を探していたんだ｡

その人自体を愛そうとしても無駄だった｡

私の中にはいつも霊幻さんしか入ることは出来ない｡

それに気付いた夜は絶望し､散々泣き喚き苦しんだ｡

その時は霊幻さんとはもう二度と会えないものと思っていたから｡

あの日､ホテルから出てきた朝｡
その夜感じた絶望は､あの時の絶望感と同じだった。

だから､霊幻さんと再会できたことは､私には何よりの希望であり幸福だった｡

…でも､今の状況はなんだ｡
レスもいいところだ｡全く男らしくない｡

でも私は相当の馬鹿であり相当の愚か者だ｡

霊幻さんに対してどうと思ったところで､霊幻さんの元を離れることはどうしても考えられなかった｡