【モブサイコ100】人間味しかない貴方が好き【霊幻新隆】

いっしょうにいちどのあさ - *28 ページ29

それだけは思い込みとは思えなくて、霊幻さんもほんの少しは私に気があるのではないかと思ったのは、独り目覚めた朝のベッドの中だった。


霊幻さんとは最後までしなかった。
何故だかは覚えていない。
でも、もし万が一しようとしたとしても、私が拒絶してしまっていたと思う。


朝、起きたら隣に愛しい人が居なかった。
きっともう会えないのだろうけど、不思議と悲しくなかった。もう、解っていたから。


とりあえず服を着た。

テーブルの上に無防備に置いてあった万札をポケットに入れて、ゆっくりと歩き出した。

夜ほど治安が悪そうではない朝のラブホ街に足を踏み入れた。
その途端、不意に涙がぶわぁっと溢れてきた。

えっえっ、と一人焦っていながら、その涙の量は増すばかりだった。
自分でも今気がついた。
もう会えないであろうと思った今であっても、私の頭の中は全部霊幻さんで溢れている。

また急に霊幻さんを欲してしまう。もはやこれは恋の発作と言える。

実は霊幻さんはこの姿を見ていて、心配に思って出てきてくれたりとかないかな。

そんな呑気なことを考えていたら、頭が痛くなりながらもようやく涙は止まった。


駅まで歩くのは気が遠いけど、霊幻さんとの思い出の街に帰るためなら仕方が無いと思った。

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