検索窓
今日:36 hit、昨日:8 hit、合計:31,611 hit

ページ14






「次降りるよ」

海斗が言うと、気づいていない元太に松倉が手話で伝える。元太は吊り革を掴んでいるので、口パクでありがとうと返していた。

「海人、ここ段差広いから気をつけて」

「ん、、ありがと」

電車とホームの隙間にクラッチが刺さって転びそうになったこともある。その時は宮近が支えてくれて、事なきを得た。

『とりあえず行っちゃう?休む?』

「俺は大丈夫だよ」

『俺も』

『じゃあ行っちゃうかー』

松松が前を歩いて、その後ろを海斗と俺が歩く。それは大学の頃から変わらない隊列だった。松松は何も言わないけれど、たぶん、俺が転ばないように、道を見ながら歩いてくれてるんだと思う。必然的に、俺と海斗の会話は元太に聞こえない。

「海人、今日の買い物さ、元太が行きたいって言ったんだよ」

「そんな気はしてたけど」

「俺は正直、お前があんなすぐ行くって言うと思わなかったな。如恵留になんか言われたの?」

「あー、お前すげぇな。そう、すごい、激プッシュされた。行ってきなさいって」

「だと思った」

「でも、、来てよかったって思ってるよ」

「よかったよ」



・・・・・・





『海人、行きたいお店ある?』

「あー、俺はー、そうだな、キャップ買いたい」

『いいねーいこー』

何店舗か回って、あらかじめ調べておいた個室のある飲食店に入る。

「なに食べる?」

元太の正面には一番手話が苦手な俺が座って、俺の隣が海斗、その向かいが松倉だ。これはずっと変わらない、俺たちの座り方。松倉は手で話すし、向かいに俺と海斗が座れば元太は口を読める。

「俺は明太子パスタ」

「でしょうね」

「海人は?」

「どーしよ、、肉かな。ハンバーグ」

『元太はどうする?』

『俺これ!決めた!』

『分かった。俺が頼んじゃっていい?』

『おねがーい!いつもありがとう』

注文を終え、メニューが届くと宮近が徐に携帯を取り出す。

「写真撮って如恵留に送ってあげようよ」

「確かに!いいね!」

みんなで写真を撮って、それを送る。すぐに返信があって、喜んでるよ、と宮近が教えてくれた。

『この後どーする?』

「あ、俺ちょっと見たい店あるんだよね」

「俺はちょっと休憩してようかな、、海人はどうする?」

「俺も休憩してる」

「おっけー。じゃあ元太付き合ってよ」

『もちろん!』

「じゃあ適当なところで連絡する」

宮近と元太を見送って、俺と松倉は噴水のある広場でベンチに座った。

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (50 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
172人がお気に入り
設定タグ:TravisJapan , 病系 , 中村海人
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

イカ(プロフ) - 6chan様:コメントありがとうございます!見つけていただけて、嬉しいです。のえんちゅが兄弟だったら、、と考えた末にたどり着いた関係性でした!私も気に入っているフレーズなので、気づいていただけて嬉しいです! (2022年4月22日 5時) (レス) @page26 id: bba6564774 (このIDを非表示/違反報告)
6chan(プロフ) - 先日こちらを見つけて、一気に読ませていただきました。「自分が滞りなく生活することが、兄の1番の安心材料であることを知っている」って関係、めっちゃいいですね!! (2022年4月21日 0時) (レス) @page20 id: f726c31193 (このIDを非表示/違反報告)
イカ(プロフ) - ファンタ様:ありがとうございます!応援励みになります。これからもよろしくお願い致します! (2022年4月5日 8時) (レス) id: bba6564774 (このIDを非表示/違反報告)
ファンタ - 移行おめでとうございます。また設定を書いてくださりありがとうございます!これからも更新頑張ってください。応援してます。 (2022年4月5日 7時) (レス) @page2 id: 491e87fbb7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:イカ | 作成日時:2022年4月5日 6時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。