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「次降りるよ」
海斗が言うと、気づいていない元太に松倉が手話で伝える。元太は吊り革を掴んでいるので、口パクでありがとうと返していた。
「海人、ここ段差広いから気をつけて」
「ん、、ありがと」
電車とホームの隙間にクラッチが刺さって転びそうになったこともある。その時は宮近が支えてくれて、事なきを得た。
『とりあえず行っちゃう?休む?』
「俺は大丈夫だよ」
『俺も』
『じゃあ行っちゃうかー』
松松が前を歩いて、その後ろを海斗と俺が歩く。それは大学の頃から変わらない隊列だった。松松は何も言わないけれど、たぶん、俺が転ばないように、道を見ながら歩いてくれてるんだと思う。必然的に、俺と海斗の会話は元太に聞こえない。
「海人、今日の買い物さ、元太が行きたいって言ったんだよ」
「そんな気はしてたけど」
「俺は正直、お前があんなすぐ行くって言うと思わなかったな。如恵留になんか言われたの?」
「あー、お前すげぇな。そう、すごい、激プッシュされた。行ってきなさいって」
「だと思った」
「でも、、来てよかったって思ってるよ」
「よかったよ」
・・・・・・
『海人、行きたいお店ある?』
「あー、俺はー、そうだな、キャップ買いたい」
『いいねーいこー』
何店舗か回って、あらかじめ調べておいた個室のある飲食店に入る。
「なに食べる?」
元太の正面には一番手話が苦手な俺が座って、俺の隣が海斗、その向かいが松倉だ。これはずっと変わらない、俺たちの座り方。松倉は手で話すし、向かいに俺と海斗が座れば元太は口を読める。
「俺は明太子パスタ」
「でしょうね」
「海人は?」
「どーしよ、、肉かな。ハンバーグ」
『元太はどうする?』
『俺これ!決めた!』
『分かった。俺が頼んじゃっていい?』
『おねがーい!いつもありがとう』
注文を終え、メニューが届くと宮近が徐に携帯を取り出す。
「写真撮って如恵留に送ってあげようよ」
「確かに!いいね!」
みんなで写真を撮って、それを送る。すぐに返信があって、喜んでるよ、と宮近が教えてくれた。
『この後どーする?』
「あ、俺ちょっと見たい店あるんだよね」
「俺はちょっと休憩してようかな、、海人はどうする?」
「俺も休憩してる」
「おっけー。じゃあ元太付き合ってよ」
『もちろん!』
「じゃあ適当なところで連絡する」
宮近と元太を見送って、俺と松倉は噴水のある広場でベンチに座った。
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イカ(プロフ) - 6chan様:コメントありがとうございます!見つけていただけて、嬉しいです。のえんちゅが兄弟だったら、、と考えた末にたどり着いた関係性でした!私も気に入っているフレーズなので、気づいていただけて嬉しいです! (2022年4月22日 5時) (レス) @page26 id: bba6564774 (このIDを非表示/違反報告)
6chan(プロフ) - 先日こちらを見つけて、一気に読ませていただきました。「自分が滞りなく生活することが、兄の1番の安心材料であることを知っている」って関係、めっちゃいいですね!! (2022年4月21日 0時) (レス) @page20 id: f726c31193 (このIDを非表示/違反報告)
イカ(プロフ) - ファンタ様:ありがとうございます!応援励みになります。これからもよろしくお願い致します! (2022年4月5日 8時) (レス) id: bba6564774 (このIDを非表示/違反報告)
ファンタ - 移行おめでとうございます。また設定を書いてくださりありがとうございます!これからも更新頑張ってください。応援してます。 (2022年4月5日 7時) (レス) @page2 id: 491e87fbb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イカ | 作成日時:2022年4月5日 6時