ずっと、一緒に #1

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「車椅子移るよ。ゆっくりね」

本人も立ちあがろうとしているが、左足にも力が入らないようで、なかなか車を降りることができない。できないことが悔しくて、またボロボロと涙がこぼれてきてしまった。

「大丈夫、大丈夫。抱っこしちゃうね。僕に体重乗せていいからね」

発熱する海人の身体を抱いて、車椅子に座らせる。フードの上からタオルもかぶって、なんとかして心を落ち着けようとしているようだ。

「動くよ」

待合室で待っている間も、海人は人の小さな動きに反応してしまって、隣に座っていても疲弊しているのが分かる。漸く診察室に呼ばれると、不特定多数の人がいなくなり、心を許している担当医の顔を見たからか、少し身体の力を抜いた。

「海人くん、ちょっとお熱高いから採血頑張ろうね。看護師さんと先に処置室に行けるかな。のえるくんもすぐに行くからね」

納得していない様子だったが、一先ず海人を部屋から出す。そして如恵留は担当医と向き合った。

「どうしちゃった？」

「僕も、詳しくは分からないんです。ただ、一昨日雨の日にびしょ濡れで帰ってきて、次の日の朝は仕事に行こうとしたんですけど、僕が電話をして休ませました。そしたら海人の上司からこんな電話が、、」

昨日録画した電話の様子を見せると、担当医は深く溜息をついた。

「ずっと、辛かったんだろうね。就職してから元気なかったもんね」

「はい、、なんとなく、上手くいってないんだろうなとは思っていたんですけど、頑張ってるのに、あれこれ聞くのもと思っていたら、こんなことになっていて、、今朝、、体が震えて、義足付けられなかったんです」

「そっか、、身体のことで、何か言われていたのかもしれないね、、、海人くん、もともと人見知りだし、心開くのに時間かかるから、心療内科行かないで、僕がお話聞いてもいいかな。診断書とかは、必要になったら出すから」

「ぜひ、お願いしたいです」

「もちろん必要なことは、僕から専門医に聞くから心配しないで。暫くは、ゆっくりできるように安定剤飲んだ方がいいかもね」

「わかりました、、、よろしくお願いします」

「待ってると思うから、早めに行こうか」

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