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「元太と海人がね、ゼリー作ったんだって。しめが持ってきてくれたんだけど、少し食べられそう？」
「ぜりー？」
「うん。みかんだって」
「ん、、たべる、」
冷蔵庫から出したゼリーを手渡すと、ゆっくりそれを口に運ぶ。小さめのゼリーを、松倉は完食することができた。
「美味しかった」
「よかったよかった。元太も喜ぶね」
「トイレ行きたい」
「おっけー」
背中を支えて、トイレに連れて行く。すぐに出てきたと思ったが、案の定水道で止まってしまった。
「まつくらー？そろそろ行こっか」
ある程度で声をかけると、あ、うん、と返ってくるもののなかなか水を止められない。
「手の皮剥けちゃうと、トリガー引く時辛くない？」
そういうと、焦ったように水を止めて手を拭く。トリガーが引けない、任務に行けない、ということは、松倉が思っている自分の存在価値がなくなることを意味する。
「ごめ、ん、、どしよ、、ガサガサになっちゃった、、しず、ど、しよ、」
「まだ大丈夫。お薬塗ろうね。すぐ治るようにね。手袋もしようね」
皮膚の再生を促すステロイドと保湿剤を塗って、綿の手袋をさせる。少し安心したのか、自らベッドに横になった。
「しず、ごめん、、」
「謝らなくていいんだよ。ひとつ相談なんだけど」
「うん」
「いつも朝まで眠れる薬飲んでるでしょ？今日は熱も高いし、辛いと思うから、それを点滴でいれてもいい？」
そう聞くと思いの外あっさり頷いてくれて、吉澤は胸を撫で下ろす。おとなしく目を閉じた松倉の背中を摩りながら、コックを開けた。
「おやすみ。俺もこの部屋で寝るからね」
そういうと頷いて、眠ることができた。
・・・
「し、ず、」
深夜、名前を呼ぶ声に吉澤は飛び起きる。
「ん？どーした？」
「ごめん、おこして、頭痛くて、、」
「そっかそっか。熱測って、薬飲もうね」
「ん、、ごめんね、、起こしちゃって、」
「いいんだよ！むしろ起こしてくれて良かったよ。頼ってくれて、ありがとうね」
おとなしく薬を飲み込んで、新しくした氷枕に頭を乗せる。
「ありがと、、」
「また眠れるかな」
「うん、、」
安心したのか、小さく息をついて、口を開く。
「閑也も、、のえるも、みんなも、なんでこんなに優しくしてくれるの、、」
「えー？簡単なことだよ、松倉のこと大好きだからだよ。松倉も俺たちのこと好きでしょ？」
「うん、、でも、おれ、めんどくさい、、全然ダメだし」
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作者名：イカ | 作成日時：2022年5月9日 16時
