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フロアを川島に託して、吉澤は医務部へ走る。松倉にはピルケースを置いてきた。
「しず、」
処置室の前で、七五三掛が座っていた。まだ、処置は終わっていないようだ。
「しめ、代わるよ。しめも疲れたでしょ、休んできなよ」
「俺は大丈夫、、、元太、心配で、、瓦礫、重かったから」
七五三掛は傷の深さを見ている。それだけ不安なのだろう。その時、また勢いよく人が走り込んでくる。
「元太は?」
「光一くん、」
「寺西から聞いた」
「まだ、処置が終わっていないみたいで、、、、おれ、聞いてきます」
・・・
「元太、ベッド移るよ。先にレントゲン撮るね」
声をかけられても応えられないくらい痛くて、息を吸うだけで胸に激痛が走る。飛んでいきそうになる意識を必死に捕まえて、ぼんやりとした頭で、微かに聞こえてくる坂本の声を頼りに頷いた。
「あー、、肋もか、、このまま足と額の傷先に縫うね。辛いから一回寝ちゃおう」
麻酔をかけると、すぐに松田は深い眠りに落ちた。その間に吉澤が応急処置で貼ったテープを剥がし、もう一度消毒をする。
「深いね、」
ざっくりと切れてしまった脹脛を縫い合わせて、パンパンに腫れ上がった踵を冷やす。レントゲンで、踵にヒビが入っていることは解っていた。このままいけば完治はするが、時間がかかり、リハビリも辛い思いをするだろう。
「肋気を付けて、着替えさせよう。体拭いてあげてください」
砂塵に晒された身体を拭いて、トラコバンドを巻く。骨折による肺や血管の損傷がなかったことは、不幸中の幸いだ。
「失礼します」
「閑也、お疲れ。他のメンバーは?」
「中村と宮近は落ち着いているので、そのままフロアで休ませています。松倉はまだちょっと分からなくて、、熱は高いし、松田のことがあるので、崩れるとは思うんですが、、今は川島の報告書作りを手伝っています」
「そっか。如恵留が対応してくれれば大丈夫か」
「元太は、どうですか?いま、光一くんも来てて」
「踵と、肋骨にヒビが入ってる。踵はまだ腫れが引かなくて、ギブスは巻いてない。足の傷は19針縫ったけど、かなり深い。額も5針縫った。気をつけたけど、痕が残るかもしれない」
「そうですよね、」
「2-3日は辛いと思うし、リハビリもかかるかな。任務復帰は、早くても1月半後。暫くこっちで預かるね」
「分かりました、、」
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作者名:イカ | 作成日時:2022年5月9日 16時