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少しづつ支度を始めていたが、宮近の体調はなかなか落ち着かず、結局無理して食べた昼食を戻してしまった。
「ごめ、なさ、、い、」
「大丈夫だから、口ゆすげそうだったら教えて?」
会議から戻った川島がその背中を摩る。宮近が素直に甘えられるのは川島だけだ。松倉にとって松田が近すぎるように、宮近にとって中村は近すぎる。吉澤と七五三掛にも頼れるようになってきたが、チームのコマンドとして組織からリーダーであることを求められていた宮近は、あまり頼ることが得意ではない。
「ごめん、、」
「落ち着いた?」
頷いて口を濯ぎ立ち上がろうとするが、努力も虚しくフラフラとしゃがみ込んでしまう。
「ちゃか、ちょっと話していい?」
宮近は頷かない。何を言われるか、分かっているのだろう。
「今日の任務、ポジション変えよう」
「っ、、で、も、、」
「この状態で、炎天下の屋上に送れないよ。狙撃得意な人オファーかけてみるね」
どう考えてもそれが最善で、悔しさから宮近の目に涙が溜まる。
「今日は松倉と海人は大丈夫そうだし、それが最善かなって思うんだけど、どうかな」
暫く間があって、そう思う、と声を絞り出した。
「ごめ、ん、、結局、任務ちゃんとできない、」
「大丈夫。車の中からでもレーダーみれるでしょ」
「ん、、ほんと、ごめんなさい、、」
また泣き出してしまった宮近の背中を抱いて、熱い背中を摩る。
「なんで、、だめになっちゃったんだろ、」
「しんどいね、、でも、前に進んでるんだから、今辛いのは、悲しいけど、、絶対一緒にいるから」
「ん、、ごめ、、っ、」
また気分が悪くなってしまったのか、宮近はトイレに引き返す。その隙に、川島はマネジメントにオファーをかける。運良く寺西が空いていて、ミーティングからに来てくれることになった。
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作者名:イカ | 作成日時:2022年5月9日 16時