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「っ、、」

予想していた通り、30分ほどすると突然宮近が呼吸を乱して起き上がる。そして控えていた中村が優しく抱きしめた。

「海斗、大丈夫だよ。落ち着いて」

「お、れ、、ごめ、、」

「大丈夫だから。まずは深呼吸。身体動く?」

「ご、めん、、」

松倉と松田は心配そうにその様子を見つめる。何度も見た光景ではあるが、慣れることはない。

「金縛り?怖い夢見た?」

「ん、、」

内容は今まで聞いてこなかったし、宮近も話すことはなかった。でも今は、聞いてみてもいいかもしれないと思った。

「どんな夢か、聞いていい?」

そう聞くと暫く沈黙があって、普段の宮近とは程遠い、消えそうな声が聞こえてきた。

「子どもの頃の、夢、、本当か、分かんない、ただの夢かも、しれないけど、、寝てると、、母親に叩かれる、だからって、座ったり、立ったりしても、、怒鳴られて、手とか、足とか、縛られて、、壁に押し付けられて、、、っ、」

また呼吸を乱した宮近の背中を摩る。普段他人の感情で揺れることは少ない中村の目に、涙が滲んだ。遠くにいる松田と松倉は、とっくにタオルを顔に押し付けている。

「こわかったね」

「だから、、寝れないって、ずっと分かってた、、でも、、ちゃんと、、言わなくてごめん、、」

「言えなかったんだもん、謝ることじゃないよ」

「いっぱい泣いていいんだよ」

もう一度強く抱きしめると、宮近は声をあげて泣いた。

「ごめ、ん、、ごめん、」

「謝らなくていいから。海斗なんも悪くないじゃん」

「薬、飲めばいいのに、飲まなくて、体調崩して、も、、最悪じゃん、」

「まぁ、、飲んで欲しい時もあるけど、、飲みたくない気持ちもわかるし。とりあえず落ち着きな。松松も泣いてるから」

そこで宮近は、焦って松倉を探す。

「松倉、大丈夫、だった、、?」

「俺は大丈夫、、でも、、」

あんなものを見せて、松倉を傷つけたくなかった。

「今度、ゆっくり聞かせて欲しいと思ったよ」

その言葉に、また涙が溢れる。自分のことでいっぱいいっぱいの筈なのに、それでも人を思いやる。松倉は優しすぎる。

「ちゃかは、優しいね」

「優しくないよ、」

「ほら、いいから。みんな優しいから!とりあえず海斗水分取りなよ」

甲斐甲斐しく中村がスポーツドリンクをコップに注いで、宮近に持たせる。

「任務、休んだら」

その言葉には首を横に振る。

「休みたくない、」

「もう少し、様子見よ」

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作者名:イカ | 作成日時:2022年5月9日 16時

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