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怖い、辛い、と松倉の本音が溢れ出す。やっと外に出せるようになってきたので進歩かもしれないが、いままで自覚していなかった恐怖と苦痛に、松倉自身の負担は大きい。

「も、、やだ、、」

迫り来る恐怖と、記憶が飛んでしまう恐怖、過去を少しづつ掘り返されていく恐怖に松倉の心が限界を訴える。

「松倉、よく頑張ったよ。ちょっと辛いから薬飲もう?」

「くす、り、」

「大丈夫だよ。ずっと一緒にいるし、今日は俺と寝よう?」

川島の言葉に、小さく頷く。その様子を見て、吉澤は頓服を用意した。

「飲めそうかな。自分のタイミングでいいよ」

手に錠剤を乗せると、震える手でそれを口に運ぶ。しかし、口に入れるか入れないかのところで、その手は止まってしまった。

「く、すり、だめ、、くすりは、だめなの、」

「これはね、悪い薬じゃないよ。松倉のこと守ってくれる薬だよ。でもね、いま不安だったら、一回お皿に置いていいよ」

そういうと、差し出した皿に手のひらの錠剤を移す。そして、川島に縋り付いて声を上げて泣いてしまう。飲みたい自分と、飲みたくない自分が戦って、行き場のない感情が溢れ出す。

「ご、め、、なさい、、ごめんなさい、、のめないよ、、ごめ、なさ、、」

「大丈夫、大丈夫。松倉、ダメな時はダメで良いんだよ。もう少ししたらまた挑戦しようね」

「ど、、しよ、、」

「時間がかかっていいからね。でもね、お薬飲めた方が、松倉が楽になると思うから、飲めそうだったら教えてね」

噦り上げる松倉の背中を摩りながら、川島が優しく声をかける。こうなることを見越して、できる限りのことをミーティングの後に終わらせておいた。

「おれ今日元太の部屋で寝る」

突然の七五三掛の発言に、中村が笑い出す。

「急じゃん、、何で今言うの」

「いま思ったから。いいじゃん、どうせ朝同じくらいの時間にトレーニング行くし。元太、お布団敷くの手伝って」

「え、あ、うん」

七五三掛が天然なのか、意図的なのか松田を連れ出して、中村もそれについて行った。

「っ、、」

「しーくん、松倉ちょっと熱すぎるかな」

「測ってるみよう」

案の定体温は40度を超えていて、吉澤は氷嚢を作りに行った。

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作者名:イカ | 作成日時:2022年5月9日 16時

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