あなたの世界を守るため #3 (ページ30)

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「ちゃ、か」

「おかえり。ちゃんと自分で戻ってこれたじゃん」

そう言って松倉を抱きしめる。松倉はその腕の中で力を抜き、もう一度意識を落とした。

「閑也、ごめん。頼んで良い？」

流石に脱力した松倉を運ぶ体力はなくて、吉澤を呼ぶ。

「ちゃかちゃん、ありがとうね」

「うん、、施設にいた頃も、先生の対応とか見てた。次起きた時は、いまの松倉だよね」

「たぶんそうだね」

「元太」

宮近に呼ばれて、子犬のような顔を向ける。

「次は、元太の出番だと思うよ」

「でも、おれ、何もできないよ」

「隣にいてあげなよ。大丈夫だから」

隣にいた中村に乱暴に背中を押されて、松倉の眠る足元に座る。

「今の松倉には、お前が必要。のえるにギュッてして欲しいって言うかもしれないけど、隣にいて欲しいのは元太なの。わかる？」

「あんまり」

「お前やっぱりバカだな」

「なんで！」

「ほら、喧嘩しないで」

・・・

「ん、、」

それから10分ほどして、松倉は目を開けた。ゆっくり起き上がると、松田が何も言わずに抱きつく。

「げんた、」

「かいと、、だいすきなの」

「ん、、ありがとね」

受け答えはしているものの、低血糖の症状が続いており、松倉はすぐにズルズルと横になる。

「松倉ー、しんどいかもしれないけど、ラムネ食べよう」
口の中にラムネをねじ込んで、背中を摩る。

「きもちわるい」

「そうだよね、、ちょっとね、体に栄養が足りないんだ。点滴すると楽になると思うんだけど、、」

そういうと、首を大きく振る。

「そっかそっか。じゃあね、辛いかもしれないけど少しづつ口に入れようね」

「ん、、」

暫く続けていると、ようやく起き上がることができて、大きく息を吐く。そして、周りを見回して、一筋涙を零した。メンバーは何も言わなかったが、松倉は雰囲気に違和感を感じてしまった。

「おれ、、なんか、忘れてる？、、みんなに、迷惑かけた、よね、」

「大丈夫だよ、松倉。心配しなくて、大丈夫」

「なんで、忘れちゃうんだろ、、、ごめん、、ごめんなさい、おれ、ほんと、迷惑かけてる、、」

話しながらも激しい頭痛が襲い、無意識に頭を押さえる。

「松倉？頭痛い？今日頑張ったから、、ちょっと休もう」

「ごめん、、ごめんなさい、」

「かいと、大丈夫だよ」

覚えていないことに対する不安と、身体の不調と、元々の不安定さが重なって、松倉は全く感情をコントロールできていない。