あなたの世界を守るため #3 (ページ14)

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話せたことでお互い落ち着いたのか、最後は松倉も笑顔を見せた。それでも体調が悪いことに変わりはなく、暫くするとぎゅっとこめかみを抑える。

「クラ？どうした？」

「ご、め、、頭いたい、」

「ちょっと待ってて」

中村が通りかかったスタッフに声をかけると、すぐに鎮痛剤を用意してくれた。

「かいと、薬飲める？」

そう効いても反応がなく、ただ浅い呼吸を繰り返す。小刻みに震える体は、何も言わなくても恐怖を訴えた。先ほどまでの柔らかい表情は遠く、しっかり固定された点滴の刺さった左腕を掴む。

「ごめ、、っ、、そこ、、立たないで、、」

松倉の口から言葉に、中村と松田は慌てて腰を落とす。

「ごめんね、気づかなくて。薬飲もう」

その時、ガチャっとドアを開けてあまり馴染みのないスタッフが入ってくる。そこで松倉の限界が来た。

「っ、、や、やだ、、」

「かいと？」

細かい音を全部拾って、全部に驚いて、涙を流す。

「クラ、耳つけるよ」

大好きな中村と松田の声も受け入れることができずに、頭を抱えて全ての刺激を拒否する。

「や、、ごめ、ごめん、、やめて、、」

「分かった分かった。大丈夫になったら教えて」

どうすればいいのか分からずに、小さくなっていると静かに剛がやってくる。

「あら、どないしたん」

「あーつよしくん。ヘルプミー」

「ちょっと人減らそか。海人と元太はちょっと隣の部屋で待っててな。元太、大丈夫やで」

「んー、、お願いします」

「元太、いくよ」

またグズグズと気落ちしてしまった松田の手を引いて、待合室に移動する。

「俺たちが悪かったよ。クラ、周りに人が立つの苦手って言ってたのに」

「あーー、、どうしよ、、」

「でもさ、元太が来て嬉しそうだったじゃん。大丈夫だよ、俺たちも少しづつ覚えて、やって行くしかないよ」

「うん、、でも、」

「あーもう！お前がそうやってウジウジしてたら、またクラが気にするよ？それでいいのかよ！」

中村の大きな声で、今度は松田が涙を流す。

「だって、」

「大丈夫だよ。大丈夫、また元気になるから」

涙を流す松田の肩を抱いて、もう少し気の利いた言葉をかければよかったと思う。誰でもいいから、優しい年長組が早く来てくれることを願った。