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「何か食べたいものはある?」
「えっと、」
「食べられそうなものあったら、作るよ」
そう聞くと暫く間があって、怒られることを恐れているかのような顔で唇を振るわせた。
「ちゃかの、お雑炊、」
「わかった。ちゃかに作ってもらおうか」
その言葉を聞いた途端に宮近は動き出して、キッチンで用意を始める。
「こっちで一緒に待とうか」
「面倒、で、ごめんね」
「面倒じゃないよ。食べたいもの教えてくれて、ありがとうね」
程なくして出てきた雑炊に手を合わせる。少しづつ、少しづつ口に運んで、茶碗一杯食べ切ることができた。
「ごちそうさまでした、、ちゃか、ありがとう」
「今度、本物食べに行こう。俺が作るより、もっと美味しいから」
その言葉には小さく頷いて、お茶を飲んだ。
「さて、お薬頑張りますか」
精神的に不安定なので、薬を飲むのに時間がかかるだろう。
「おくすり、」
「いつもと同じお薬だよ」
「これは、」
「これは寝る前だけのやつだね。朝までゆっくり眠れるように」
「これは、、?」
「これは、解熱剤。お熱を下げたり、頭が痛いのを取ったりする薬」
「こ、れ、」
「これは鉄剤。鉄分が入ってるだけ。貧血にならないようにね」
ひとつひとつ確認して、漸く手に取る。口に入れると涙がこぼれて、ぎゅっと隣にいた吉澤の袖を握った。
「大丈夫、大丈夫。身体楽になるよ」
少しづつ緊張の解けてきた松倉と、薬を飲んでフラフラし始めた宮近をベッドに寝かせる。
「後で動かすから、2人で寝てなね」
そう言って電気を消すと、すぐに寝息が聞こえてきた。
「2人とも寝たよ」
「松倉は、今日はしんどい1日だったね、、、任務もあったし、疲れてるよ」
「そうだよね。でも、感覚過敏は少し落ち着いたのかな」
「夜は大丈夫そうだったね」
「このまま落ち着くといいね」
「元太はどう?」
「そう、その話なんだけど。やっぱり早くフロアに戻したくて」
「いつくらいになりそう?」
「俺は今週中って思ってる。坂本くんも、いいと思うって。ただ、まだ自分のことも1人だと心配な状態だから、俺らが任務で出ちゃう時は、医務部でお留守番かな。坂本くんは、俺たちの負担を心配してくれてるんだ」
「大丈夫だよね。ギブアップする前に、周りに頼ろう」
「そうだね」
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イカ(プロフ) - Qさん» コメントありがとうございます!!とてもうれしいです😭この作品の手があまり進んでいなくて、、、申し訳ありません。書くのをやめたわけではないので、お待ちいただけると嬉しいです💦 (8月24日 22時) (レス) id: bba6564774 (このIDを非表示/違反報告)
Q - また最初から読み返しています。やっぱり好きです!いつか続き読めるときが来たら嬉しいです (8月16日 15時) (レス) id: 857d18a548 (このIDを非表示/違反報告)
イカ(プロフ) - ファンさん» もったいないお言葉、ありがとうございます😭更新頻度にムラがあって、申し訳ありません💦楽しんでいただけるよう、頑張ります! (2023年3月13日 8時) (レス) id: bba6564774 (このIDを非表示/違反報告)
ファン - 更新ありがとうございます!イカさんの作品が1番好きです! (2023年3月13日 1時) (レス) id: fcc1fe19ad (このIDを非表示/違反報告)
イカ(プロフ) - Qさん» 嬉しいお言葉、ありがとうございます!少しづつ書き溜めておりまして、もう少し溜まったら更新させていただきたいと思っております!待っていただけているとのお言葉、本当な嬉しいです。もう暫しお待ちください! (2023年2月12日 21時) (レス) id: bba6564774 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イカ | 作成日時:2022年6月16日 5時