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「音じゃない?」
中村が気づいて、ダイニングテーブルに置いてあったイヤーマフを川島に手渡す。
「松倉、イヤーマフするね」
手を避けて、出来るだけ優しく松倉の鋭い聴覚を遮断する。そのまま視界も覆うように抱きしめて、背中を摩る。
「シャワー、」
「まつくら、シャワーはしなくて大丈夫。ちょっと休もうね」
「や、警察、、行く前に、っ、シャワーしなきゃ、」
「シャワーはね、もうおしまい。疲れちゃうからね」
首を横に振る松倉の背中を摩っていると、また身体に力が入り、手が口元に動く。
「しーくん、ガーグルベースちょーだい」
冷静にガーグルベースを用意すると、途端に嘔吐してしまい、吐き終わるとごめんなさい、と繰り返す。
「大丈夫、大丈夫。熱も高いからね、、、辛いのに頑張らせてごめんね」
どうにか口をゆすがせて、一旦松倉の部屋に連れて行く。そろそろ着替えをさせなくてはいけない。部屋や着替えのことは松田がよく分かっているので、中村の差金で後ろを松田がついて行った。
「松倉、一回座って、落ち着こう」
ひとつづつ指示を出して、松倉の気持ちを少しでも落ち着ける。これから取調べというイベントがあるからには、これ以上松倉のコンディションが良くなることはないだろう。放心している松倉に声をかけつつ、松田が服を用意する。
「別にドレスコードとかないよね?」
「ないない。楽な格好で平気」
松倉がよくきている白のシャツとワイドデニムを出して、膝の上に置く。
「着替えれる?」
そういうと頷いて、静かに着替え始めた。その時に見えた包帯が痛々しく、松田は顔を顰める。そして素直な松田は、それをきちんと言葉にした。
「かいと、痛いのは嫌だよ。おれも見るの痛い」
そういうと小さく頷いて、ごめん、と口を動かし、イヤーマフを外した。
「もう、大丈夫そう?」
「うん、、ありがと、、ごめん、みんなゆっくりしてたのに」
「だいじょーぶっしょ!」
「のえる、、今日も、早めに出ていいかな、」
「そうだね。もう行こうか。しめが運転してくれるから、声かけてくるね」
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イカ(プロフ) - ナツメ様:コメントありがとうございます。あたたかいおことば、、嬉しいです!!今後もよろしくお願い致します。 (2022年5月4日 9時) (レス) id: bba6564774 (このIDを非表示/違反報告)
ナツメ(プロフ) - 初めまして!以前からイカ様の作品を拝読していました。今作も素晴らしいです!本当におもしろくて神って実在したんだなって本気で思いました。筆も早くて尊敬します。これからも頑張ってください! (2022年5月3日 22時) (レス) @page9 id: 8dc454fb00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イカ | 作成日時:2022年5月3日 17時