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「そんなに泣いて、どうしたの。大丈夫だから、ゆっくり息してごらん」
「っ、げん、た、、げんた、、」
「元太?元太がどうかした?」
「げんた、、ご、めんね、げんた」
理由ははっきりしないが、松倉は松田に謝りたいことがあるようだ。おそらく、ひとりで置いてきてしまったとか、自分のせいで疲れているとか、そんな理由だとは思うが、とにかく松倉のこころは不安でいっぱいだった。今日はあまり天気も良くないし、調子の悪い日なのだろう。
「ど、しよ、、のえる、たすけて」
名前を呼んで、助けを求められたということは、触れても大丈夫だろう。川島はゆっくり隣に移動して、声をかけてから優しく松倉を抱きしめた。
「元太に、伝えたいことがあるの?」
そう聞くと頷いて、なんとか言葉を繋ごうと必死に口を開く。
「一緒に、いて、くれたのに、、なんか、すごく、、怖くなっちゃって、、でも、元太、困らせたくなくて、言えなくて、、なんか、、わかんなくなってきちゃって、、元太、泣いてる、、おれのせいで、元太、、悲しくなって、、だから、げんたに、、っ、、」
「そっかそっか。元太は松倉の弟だもんね。守りたかったんだよね。でもね、元太は、松倉のこと大好きだからね、かいとのせいで、とか、絶対に言わないと思うよ。元太には、落ち着いたら一緒に話に行こうね。でもその前に、元太に言えなかった、怖いことはなんだった?俺が聞いてもいい?」
そういうとハッと思い出したようにまた身体が震える。ぎゅっと身を固めて、息をつめる。
「リビングに、居られなくなった理由があるのかな」
少しづつ助け舟を出すと、頷いて、口を開く。
「静か、に、リビングいたら、、玄関、気になって、、、窓も、外から、、人入ってきて、おれ、捕まっちゃったら、どしよって、考えてたら、怖くて、、箱に、、、でも、箱も、こ、こわくて、、」
箱については、剛から話を聞いていた。熱が高いせいもあり、現状と過去の記憶が交錯してしまったのだろう。
「お、れ、、も、、だめ、、かも、怖くて、、部屋から、出たくなくなっちゃった、、」
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イカ(プロフ) - ナツメ様:コメントありがとうございます。あたたかいおことば、、嬉しいです!!今後もよろしくお願い致します。 (2022年5月4日 9時) (レス) id: bba6564774 (このIDを非表示/違反報告)
ナツメ(プロフ) - 初めまして!以前からイカ様の作品を拝読していました。今作も素晴らしいです!本当におもしろくて神って実在したんだなって本気で思いました。筆も早くて尊敬します。これからも頑張ってください! (2022年5月3日 22時) (レス) @page9 id: 8dc454fb00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イカ | 作成日時:2022年5月3日 17時