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急に力が抜けたかと思うと、その瞳は硬く閉じられて、また意識を落としてしまったことが分かる。
「まただ」
「身体が、心を守っているのかもね。寝かせとこう」
「明日の任務、いけるのかな」
「どっちのパターンも考えた方がいいかもね」
「でも、ひとりで残していくこともできないよ」
「そうだね、、ダメそうでも車乗せて連れてくか、誰か松倉が安心できる人に頼むか」
その晩は何度も意識を失ったり、魘されたりを繰り返して、漸く薬が飲める時間になり、少し強い安定剤を飲ませるとやっと朝まで眠ることができた。
「ん、、」
「松倉、おはよ。起きれる?」
「うん、、ちゃか、寝てない?大丈夫?」
「俺は大丈夫、、ちょっと寝たと思うし。松倉、お腹空いてない?」
「あんまり、、ごめん、昨日めっちゃ迷惑かけた」
「迷惑だとは思ってないよ。大丈夫。何でも聞くから」
「ごめん。ほんと、自分でも、波があるって分かってて、でも、コントロール出来なくて」
「仕方ないよ。俺もそうだったし、たぶん、今もそうなんだと思う。みんなに言えてないこともある」
「そっか」
夕飯食べなかったからエンシュア飲まなきゃ、そう言って冷蔵庫に向かう松倉を見送る。自分もお茶を飲もうと思ってキッチンに立った。
「俺の生い立ち、調べた?」
どう答えるべきか迷ったが、嘘をついても仕方がないと思い、事実を伝える。
「滝沢くんが、調べてくれた」
「そうなんだ、、なんか、俺も、分かんない部分が多くて、知りたい気持ちもある」
「辛くない?」
「わかんない。ごめん、迷惑かけると思う」
「それは気にしなくていいよ。タイガーは7人家族だから。大丈夫。みんな味方だよ」
「うん、、ありがと」
松倉の意思に従って、昨日の資料を手渡す。聞かれたら、答えると昨日みんなで決めていた。それによって、任務が難しくなるかもしれないが、それでも支えていこう、と。
「ごめん、やっぱり、、やめる、」
開くか開かないか、迷っていた松倉は結局内容を見ずに資料を宮近に戻した。
「いいよ。松倉のタイミングで、見たくなったら見ればいいんだから。ここに入れとくね」
リビングの書類棚に戻して、また少し不安定になり始めた松倉の隣に座る。
「ごめん、自分から、っ、聞いたのに、」
「いいんだよ。進もうとしてる証拠じゃん」
時間をかけて呼吸を落ち着けると、自分からエンシュアを持って飲み始めた。
「熱高いね」
「ん、、でも、大丈夫」
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イカ(プロフ) - ナツメ様:コメントありがとうございます。あたたかいおことば、、嬉しいです!!今後もよろしくお願い致します。 (2022年5月4日 9時) (レス) id: bba6564774 (このIDを非表示/違反報告)
ナツメ(プロフ) - 初めまして!以前からイカ様の作品を拝読していました。今作も素晴らしいです!本当におもしろくて神って実在したんだなって本気で思いました。筆も早くて尊敬します。これからも頑張ってください! (2022年5月3日 22時) (レス) @page9 id: 8dc454fb00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イカ | 作成日時:2022年5月3日 17時