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「テラー、ありがとー」
「いえいえー。のれるー?」
滝沢が大きい車を手配してくれて、スライドドアが開く。ゆっくり車に乗り込んで、静かに扉が閉まった。
「松倉、ひさしぶりじゃん」
「うん、、」
緊張のせいかあまり口を開かないため、それからは特に松倉に話しかけるわけではなく、川島と寺西で取り止めのない話をしていた。その間も、松倉の手はきつく川島の手を握っていた。
「1時間くらいしたら迎えに来るね。早く終わりそうだったら連絡して。俺が待つ分には大丈夫だから」
「ありがと」
「かいと、また迎えに来るからな」
ちゃんと迎えに来る、と念を押して寺西はその場を離れた。
「行こっか」
「大丈夫、だよね、、」
「大丈夫だよ。松倉は何にも悪いことしてないからね。捜査に協力するだけ」
「ん、、」
ゆっくり歩いていたが、どんどん目線が下に落ちて、川島が受付で話をするころには、手が震え始めてしまった。
「の、える、、」
怖くて、怖くて、声を振り絞って川島に助けを求める。不特定多数の人が出入りする場所は、気を張りすぎてしまい、小さな物音や足音、話し声全てに驚き、恐怖を感じてしまう。
「大丈夫だよ、もう個室に移動できるからね。でもね、辛かったらこれ使ってみようか」
そう言って吉澤から預かったイヤーマフを手渡す。剛からの提案で、人混みや音が辛い時には一定の効果があるという。
「でも、のえるの、声が、、聞こえないと、、」
「近くにいる人の話し声はね、聞こえるんだって」
そういうと頷いて、耳に当てる。しかし、すぐに外してしまった。
「聞こえなくて、いいけど、、人の気配が、、分からなくて、怖い、」
「そっかそっか。じゃあ今は外しておこうね」
「うん、、ごめんね、」
「謝ることじゃないよ。大丈夫だからね」
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イカ(プロフ) - ナツメ様:コメントありがとうございます。あたたかいおことば、、嬉しいです!!今後もよろしくお願い致します。 (2022年5月4日 9時) (レス) id: bba6564774 (このIDを非表示/違反報告)
ナツメ(プロフ) - 初めまして!以前からイカ様の作品を拝読していました。今作も素晴らしいです!本当におもしろくて神って実在したんだなって本気で思いました。筆も早くて尊敬します。これからも頑張ってください! (2022年5月3日 22時) (レス) @page9 id: 8dc454fb00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イカ | 作成日時:2022年5月3日 17時