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「んー?」
「お、れ、、警察、ちゃんと、いけるよ、」
「うんうん、そうだよね。一緒に行くからね」
「でもね、、こわ、い、、怖くなって、きちゃって、っ」
怖い、と口にするとまた戻してしまい、背中が震える。
「嫌だったらね、嫌って言っていいんだよ。嫌ならやめようってなる時も、嫌だけど頑張ろうってなる時もあるけど、松倉の気持ちを、ちゃんと伝えていいんだよ」
「ん、、」
少し落ち着いてきた松倉に口を濯がせて、トイレから誘い出す。
「ちょっと休む?」
「でも、、時間、」
「うーん、あと30分くらいしたら出れば大丈夫だよ。今日はね、テラが車出してくれるからね」
「テラ?」
「うん。連絡したらいいよーって」
「そっか、、そうなんだ」
SHOCKで長い時間を共に過ごした寺西が来てくれると聞いて、松倉の緊張が少し溶ける。知らない人が運転するタクシーは怖いだろうし、川島が運転するとそばにいられなくなってしまう。ことの次第を説明すると、寺西は快く引き受けてくれた。寺西は川島と同い年で、松倉に理解があり、松倉自身も寺西を慕っている。そして優しくおおらかで、多少のことには動じない精神力がある。
「でも、、早めに、準備してもいい?いま、休んだら動けなくなりそう」
「わかった、そうしよ。支度してきな?」
「うん、、着替えてくる」
部屋に戻る松倉を見送ってリビングに入ると、吉澤から錠剤を渡される。
「前でも後でも、しんどそうだったら飲ませて」
「分かった」
「のえるー?何時に帰ってくるのー?」
「んー、今日はそんなにかからないと思う」
「わかったー」
部屋着から私服に着替えて、小さいバッグを背負った松倉がリビングに戻る。
「身分証だけで、いいんだっけ」
「うん。大丈夫だよ。出よっか」
「いってらー」
「お土産よろしくー」
「警察のおみやげってなんだよ」
あえて和やかな雰囲気で送り出してくれたメンバーに感謝しつつ、松倉は靴を履く。しかし予想通りその手が止まった。
「まつくら?」
「あ、、ごめん、、いく、」
なんとか靴を履いて立ち上がる。
「のえる」
差し出された手を握って、ドアを開ける。握った手の力が緩まることはなく、周囲を警戒していることが分かる。
「テラ、もう駐車場いるって」
松倉の状態を説明しておいたので、寺西は気を利かせて早めに車を回してくれていた。
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イカ(プロフ) - ナツメ様:コメントありがとうございます。あたたかいおことば、、嬉しいです!!今後もよろしくお願い致します。 (2022年5月4日 9時) (レス) id: bba6564774 (このIDを非表示/違反報告)
ナツメ(プロフ) - 初めまして!以前からイカ様の作品を拝読していました。今作も素晴らしいです!本当におもしろくて神って実在したんだなって本気で思いました。筆も早くて尊敬します。これからも頑張ってください! (2022年5月3日 22時) (レス) @page9 id: 8dc454fb00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イカ | 作成日時:2022年5月3日 17時