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眠って落ち着いているならよかったと思っていたのも束の間、突然目を開けた松倉は点滴に気づくとパニックを起こした。

「やだ、、やだやだ、、とって、、お願い」

「かいと!」

抑えようとした松田の手を振り払って、ガタガタと震える。

「っ、、うぅ、、やだよ、、む、り、、やだ、、いやなの、、」

「元太、おいで」

中村が松田を引き取って、川島が場所を代わる。吉澤は抜去を防ぐために、腕を押さえた。

「やだやだやだ、、やめて、、やめてよ、針、針が、、痛いから、、やだ、、はずして、、」

「松倉、怖い夢見た?大丈夫だよ」

ビクッと身体を揺らしたが、まずは話を聞いてもらうために優しく松倉を抱き込む。しばらく抗っていたが、背中を摩っていると少しづつ力を抜いた。

「のえる、のえる、、はり、、やだ、、抜いて、、」

「点滴はね、今抜けないの。身体が辛くなっちゃうからね」

「だって、やだよーー、、」

子どものようにしゃくり上げて泣いて、ぶんぶんと首を振る。川島の知っている松倉は、わがままを言ったり、泣いて怒ったりする人ではない。それは、大人になって成長してそうなったのではなく、試して、怒られて、褒められて、そういう経験が圧倒的に欠落していて、それ以外のチョイスがなかったから、自分の気持ちを外に出すことが苦手だったのだ。きっと、松倉は子供の頃、こんな風にわがままを言ったことなどないのだろう。だったら、わがままを言ってもいい環境を作って、でも通ることと通らないことを教えて、たくさん褒めて、また一緒に成長していくしかない。記憶が少し戻ったことで、退行してしまう場面があるのも仕方ないことだ。母のように優しく、父のように大きく、見守っていきたいと思う。

「嫌なんだよね、でもね、頑張って欲しいんだ。任務行くから、点滴頑張るってしーくんと約束したもんね」

「怖い、、っ、怖いよ、、針から、、クスリが、こわい、」

「今入ってるのはね、お薬じゃないんだよ。松倉の身体に足りない栄養を入れてるの。ご飯の代わりなんだよ。だからね、気持ち悪くもならないし、苦しくもならないよ」

針自体への恐怖と、違法薬を入れられたときの恐怖を、少しでも緩和できるように、声をかけ続ける。暫くすると、また松倉の表情が変わり、今度は後悔したかのように涙をながし、ごめんなさい、と繰り返す。

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イカ(プロフ) - ナツメ様:コメントありがとうございます。あたたかいおことば、、嬉しいです!!今後もよろしくお願い致します。 (2022年5月4日 9時) (レス) id: bba6564774 (このIDを非表示/違反報告)
ナツメ(プロフ) - 初めまして!以前からイカ様の作品を拝読していました。今作も素晴らしいです!本当におもしろくて神って実在したんだなって本気で思いました。筆も早くて尊敬します。これからも頑張ってください! (2022年5月3日 22時) (レス) @page9 id: 8dc454fb00 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イカ | 作成日時:2022年5月3日 17時

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