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「やすまない、」
「そっか。でもね、いまのまま行っても、バテちゃうと思う。飲むの難しいみたいだから、任務に行くなら、点滴をしよう」
想像しただけでも針を刺されることが怖くて、身体が震える。
「もし辛かったら、リラックスできるお薬使うこともできるけど、、、」
「や、、」
以前予防接種の際に吸入鎮静剤を使おうとしたところ、当時は記憶がなかったにも関わらずパニックを起こしたことがある。今は、とても無理だろう。
「そうだよね、、じゃあ、頑張れる?元太に一緒にいてもらおうか」
そう聞くと涙を流しながら頷いて、左腕を擦る。
「見えないようにするし、なるべく痛くないようにするからね」
松田を呼んで松倉の隣に座らせ、川島にも応援を頼む。
「如恵留、肩押さえてくれる?」
「おっけー。まつくら、肩ちょっと押さえるね」
きつく目を閉じて、松田の手を握りしめる。想像しただけでも冷や汗が伝って、呼吸が乱れた。
「元太、松倉と深呼吸して」
「わかった!かいと、力はいりすぎ!深呼吸しよ」
駆血帯を巻いても、血管が細く、食べていないため貧血も進んでいて、なかなかルートが見つからない。
「あー、、出ないなぁ、、挿し直しはしんどいから、手の甲にするね」
なるべく痛みの少ないところに針を刺す。その途端に松倉の心拍数が急上昇して、過呼吸を起こした。
「まつくらー、おちついてー、うごかないよー」
川島が声をかけても反射的に逃れようと動いてしまい、仕方なく強く身体を押さえる。
「おっけ、入った。固定するね」
念入りに固定して、その上から見えないように包帯を巻く。更に七五三掛が持ってきた手を入れられるぬいぐるみをつけた。
「終わったよ。頑張ったね」
吉澤が声をかけると、松田にもたれかかるように意識を落とす。心身ともに限界だったのだろう。
「寝てる」
「元太、そのままでいてあげな」
「うん」
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イカ(プロフ) - ナツメ様:コメントありがとうございます。あたたかいおことば、、嬉しいです!!今後もよろしくお願い致します。 (2022年5月4日 9時) (レス) id: bba6564774 (このIDを非表示/違反報告)
ナツメ(プロフ) - 初めまして!以前からイカ様の作品を拝読していました。今作も素晴らしいです!本当におもしろくて神って実在したんだなって本気で思いました。筆も早くて尊敬します。これからも頑張ってください! (2022年5月3日 22時) (レス) @page9 id: 8dc454fb00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イカ | 作成日時:2022年5月3日 17時