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「でもね、しーくんに聞いたけど、毎年健康診断して、その項目もあるけど、ちゃんと毎年陰性なの。もしかしたら、子どもの頃その人に打たれていたとしても、ずっと陰性なのは分かってるから、松倉が罪に問われることはないよ」
落ち着くかと思っていたが、記憶を掘り起こしてしまったようで、腕を握りながら、震え始めてしまう。
「怖くなってきちゃった？」
そう聞くと小さく頷く。ずっと背中に添えてあった手を動かして、優しく松倉を包んだ。
「ママ、、ママは、ぎゅー、って、してくれなかった」
「そうなんだ」
「ずっと、、怒っててね、、でも、お薬すると、楽しくなるって、、だから、俺にも、、っ、やりなさいって、、は、針で、、っ」
違法薬を常用している母親との暮らしは、想像を絶するものだっただろう。変な家にいるより、施設の方が幸せだと言われたことがある。親の顔を知らない川島は、なぜかわからなかったが、今ならその意味がわかる。
「ここが、痛かった？」
「ん、、ここに、、っ、はり、さして、、あと、煙のやつも、、でも、気持ち悪くて、、吐いちゃって、、ま、ママの服、、汚しちゃった、、そしたら、また、ママに怒られて、叩かれた、ママ怒ると、、は、針で、、刺すの、、いや、、怖い、、」
「そうだね、それは怖かったね。時間が巻き戻せたら、俺が助けに行くのに」
DNA鑑定まではなんとかなっても、その先は難しいだろう。
「ママ、、でもね、、ママのこと、、すき、だった」
「そっか」
「ママ、しか、いないから、」
松倉の様子が変わる。先程までは、不安定ながらも過去のことを一生懸命話していたが、いまはもっと不安定な、幼い松倉と話しているようだった。
「ママ、、っ、汚いから、呼んだら、だめ、、会いたいのに、、でも、、おなか、すいた、、、う、、ママ、、ママ」
母親を呼び始めて、突然何かに気づき、川島の顔を見る。解離性障害の症状なのか、目まぐるしく松倉の中で人格の優位が変わる。
「ママが、助けに来てって言ってた。のえるも、聞いたでしょ？」
「確かに、そう言ってたね」
「どうすればいいの、会いに行った方が、いいのかな、、」
面会は、松倉には伝えずに断ろうと思っていた。しかし、嘘を嫌う彼に、嘘を突き通すことが良策とは思えなかった。
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イカ(プロフ) - ナツメ様:コメントありがとうございます。あたたかいおことば、、嬉しいです！！今後もよろしくお願い致します。 (2022年5月4日 9時) (
レス) id: bba6564774 (このIDを非表示/違反報告)
ナツメ(プロフ) - 初めまして！以前からイカ様の作品を拝読していました。今作も素晴らしいです！本当におもしろくて神って実在したんだなって本気で思いました。筆も早くて尊敬します。これからも頑張ってください！ (2022年5月3日 22時) (レス) @page9 id: 8dc454fb00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イカ | 作成日時：2022年5月3日 17時
