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座布団 ページ9

竜兄の部屋には、大きな座布団が置いてあるけど、竜兄がそれに座ったところは見た事がなかった。だから僕は、「座ってみたもいい?」と訊ねると、「やめとけ。」と言われた。

空「ねぇ、何で座っちゃいけないの?」
竜「呪われているからだよ。」
空「なんで?」
竜「子供がここに入れられて、窒息死させたらしいけど、その日以降呪いの連鎖が始まった。まずはだな、その子の母親が交通事故でで下半身がマヒ、父親が首を吊って亡くなった。遺書にはな、「俺の子が、俺の子が、」と書かれていた。次に祖父母の急死でおかしいことに気づいた叔父が神社でお祓いに行ったときに、竜のところに持って行け、って言ったらしい。だから、ここにあるんだ。」
空「へぇー。」

僕は、大きい座布団を見た。子供一人なら入れる大きな座布団。今でいう虐待だろうかと思ったのだが、竜兄曰く「泥棒にやられた。」と言っていた。つまり、家の中をあさっていた泥棒が、その子供に犯行現場を見られて、証拠隠滅を図って殺したらしい。僕はその泥棒がどうなったのか訊ねてみると、「精神病院からは出られないほどの何かを見たらしい。呪いの根源たる何かを。」と真面目な顔で言うのだ。自業自得だと呟く声がかすかに聞こえた。竜兄はそうつぶやいた後、数珠を取り出して、ゴニョゴニョ経文を唱えだした。と、座布団から白い靄が出てきた。それは宙を舞った後、座布団上に乗っかり、しばらく消えずに残っていた。時間がたつと、だんだん人の形をしていき、最終的には子供の姿になっていた。目はつむっており、何かを必死で祈っている姿にも見えている。経が終わるにつれて、白い子供の影は、形を靄に戻して、座布団の中に消えていった。竜兄は、「ふぅ。」と言い、横になった。僕は、竜兄を揺さぶって訊いてみた。

空「ねぇ、さっきのは何ナノ?」
竜「さっきのは、殺された男の子の霊だ。1日一回経文を声に出して読んで成仏させようとしているところだ。あと数回言えば成仏できるだろう。あーあ、疲れた。」

そう言って目をつむって寝てしまった。僕は部屋を出ると、座敷童が手を振っていた。僕は手を振りかえすと、薄くなって消えていった。笑っていたのを覚えている。僕は思った。その男の子が生きていれば僕の友達になったかもしれない。そう思ったら、少しさみしい気持ちになった。人は、一体何故生まれてきたんだろう。僕は、そう疑問に思うのであった。

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設定タグ:竜兄ちゃん , オカルトシリーズ , 心霊通信   
作品ジャンル:ホラー, オリジナル作品
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- いいお話だと思います。新しい小説書くの頑張ってください (2016年11月12日 13時) (レス) id: f92c98848b (このIDを非表示/違反報告)
夜行 - 更新ありがとうございます。不思議な気持ちになるお話ですよね。 (2016年9月7日 17時) (レス) id: 689b4df6a4 (このIDを非表示/違反報告)
餓鬼魂 - 少し切なくってくるシリーズですね。好きな作品のうちの一つですよ。応援します。 (2016年9月7日 17時) (レス) id: 689b4df6a4 (このIDを非表示/違反報告)
- おもしろいですね。更新応援させていただきます。 (2016年9月6日 21時) (レス) id: 689b4df6a4 (このIDを非表示/違反報告)
夜行 - 書き方変えてきましたね。前よりも、読みやすくなったと思います。 (2016年8月16日 12時) (レス) id: cd7a83a97a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:カニ x他1人 | 作成日時:2016年2月14日 15時

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