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座敷童 前編 ページ3

竜兄ちゃんが住んでいる家は、少し古めの日本家屋だった。二階はなく、一階だけだったが、広い家だった。竜兄ちゃんに家を案内された。迷わないようにのことだったらしく、所々に障子があって、客間になっていたり、自分の部屋だったりしている。僕にも部屋を与えてくれた。竜兄ちゃんのすぐ近くと言うか、隣だった。部屋は広く、畳7畳ぐらいあった。「ここがお前の部屋だ。好きに使っていいぞ。」と言われて、僕の私物を置いた。で次に案内されたのは、台所。ここも広かったが、釜はなかった。と言うか、あちこちに最新の設備がされていた。トイレは洋式、風呂は、電気で温かくなる大人3人分の風呂、扇風機とクーラー、ちゃんと電気型の炊飯器もあり、テレビは薄型であった。僕は目を丸くしていた。こんな高価なものが大学生の持っているお金で買えるはずがないと、子供であったがすぐ理解した。けど、竜兄ちゃんが、「ここの家、曰く付き物件だったんだよ。夜な夜な物音がするとか、人形の髪が伸びるとか、色々あってな。普通の金額の10分の1だったんだよ。」と言って理解したが、お化けが出ると聞いたとたん、僕はぶるぶる震えた。けど、「大丈夫だ。出るといっても、座敷童だから。」と言った。
 聞いたことがある。子供の姿をしていて、住み着く家に幸福をもたらす神のことを言われていると、昔じいちゃんが言っていたのを、思い出したからである。「なぜか住み着いていてな。この家に、何か縁でもあるのだろうかと思ってな、一日一回、米を備えるようにしている。夜とかたまーに俺の寝顔をのぞいたりしているときがあったりするがな。」へぇ〜と思った。そっか、ここにも面白そうなことがあったんだなとしみじみと思ったりしていた。「会ってみたいな。」と言うと、「お前なら会えるさ。」と言い、僕の頭をポンポンした。朝ご飯を食べていると、竜兄ちゃんが、「今日、お前が通う幼稚園を探しに行くからな。」と言った。そっか、ここで暮らすから、幼稚園がいるのかと思っていると、天井から、ギシギシという音が聞こえて身構えると、「大丈夫。遊んでいるんだろう。あいつが。」あいつとは、座敷童のことだろうか。そんな風に考えてみると、怖くなくなってきた。本来、座敷童とは怖くない、子供と遊ぶのが好きな無邪気な妖怪だと知っているから。昔の着物を着て、マリをついたり、コマを回したり、羽子板をして、お手玉を回して、いつか、友達になってみたいなぁと、ひそかに思った。

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設定タグ:竜兄ちゃん , オカルトシリーズ , 心霊通信   
作品ジャンル:ホラー, オリジナル作品
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- いいお話だと思います。新しい小説書くの頑張ってください (2016年11月12日 13時) (レス) id: f92c98848b (このIDを非表示/違反報告)
夜行 - 更新ありがとうございます。不思議な気持ちになるお話ですよね。 (2016年9月7日 17時) (レス) id: 689b4df6a4 (このIDを非表示/違反報告)
餓鬼魂 - 少し切なくってくるシリーズですね。好きな作品のうちの一つですよ。応援します。 (2016年9月7日 17時) (レス) id: 689b4df6a4 (このIDを非表示/違反報告)
- おもしろいですね。更新応援させていただきます。 (2016年9月6日 21時) (レス) id: 689b4df6a4 (このIDを非表示/違反報告)
夜行 - 書き方変えてきましたね。前よりも、読みやすくなったと思います。 (2016年8月16日 12時) (レス) id: cd7a83a97a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:カニ x他1人 | 作成日時:2016年2月14日 15時

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