ダムの底に 前編 ページ16
今は誰も通っていないけど、形として残っている小学校があり、竜兄は昔そこに通っていたと話していた。六歳になる前の話。その時の僕は竜兄に連れられて、その誰も通っていない小学校のグラウンドの所で虫取りをしていた。バッタにトンボ、カマキリ、コオロギ、チョウ等を虫取網片手に追い掛けていた。竜兄はというと懐かしむように辺りをキョロキョロしていた。普通に見れば只の不審者である。そんな時に竜兄は何かを思い出したような顔をして学校のグラウンドより奥、何やら茂みになっている所に歩き出した。1人になるのが兎に角嫌だったために竜兄の後ろに着いていく。茂みには何故か道のような所になっており、奥に進めるようになっている。奥まで進んでいくと、ザザザッという音が聞こえ、見ると小さな小さなダムのような所が視界に写った。竜兄は、「ここ、まだあったんだな。」と懐かしむような事をポツリと言った。僕はというと、見慣れない物を見つけ、はしゃいでいた。調子に乗って昇れるところに上がると周りに木の枝が垂れている変わった感じに見えた。水が溜まっているのだが、その底に1、2匹のカニが見えた。手前に一匹、右側の奥に一匹。土手などにいるカニの10倍はあるだろう。その事を竜兄に告げると「どれどれ?」という言葉を言いながら竜兄も昇ってきたのだが、そのカニを見るなり、「はっ?」という言葉を発した。僕は、「どうしたの?」と訊ねたのだが顎の当たりに手を置いて何か考えいる。と、「そういえば………。」という言葉を呟き、何処かに電話を掛ける。2コール程で相手が出たらしく、何かを話している。話終えて電話を切る。僕が気になっていることを訊いてみた。
空「ねぇ、このカニ何か変なの?」
竜「あぁ、実はな。このカニ、海の深いところにいるカニ何だよ。俺が小学校に通っていた時にも課外授業の一環でここに来たときあるんだが、その時にもコイツが居てな。」
空「へぇ、そうなんだ。でも、海にいる筈のカニが何でここにいるの?もしかして、誰か捨てた?」
竜「いや、そんなもったいない事掏るわけ無いだろうけど。何でだろうな。」
詳しく聞いてみるとそのカニは、ズワイガニによく似ているらしい。脚が長く甲羅の大きさも鑑みてズワイガニが一番しっくりくるらしいのだが、何故ここに居るのかは謎らしく、しかももし死んでいるのなら、台風の時にでも流されているのだろうけど、小学生の時に見た時とまるで変わっていないように見えるらしい。
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吉 - いいお話だと思います。新しい小説書くの頑張ってください (2016年11月12日 13時) (レス) id: f92c98848b (このIDを非表示/違反報告)
夜行 - 更新ありがとうございます。不思議な気持ちになるお話ですよね。 (2016年9月7日 17時) (レス) id: 689b4df6a4 (このIDを非表示/違反報告)
餓鬼魂 - 少し切なくってくるシリーズですね。好きな作品のうちの一つですよ。応援します。 (2016年9月7日 17時) (レス) id: 689b4df6a4 (このIDを非表示/違反報告)
陣 - おもしろいですね。更新応援させていただきます。 (2016年9月6日 21時) (レス) id: 689b4df6a4 (このIDを非表示/違反報告)
夜行 - 書き方変えてきましたね。前よりも、読みやすくなったと思います。 (2016年8月16日 12時) (レス) id: cd7a83a97a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カニ x他1人 | 作成日時:2016年2月14日 15時