ナマズ 前編 ページ14
僕の住んでる家の近くに池がある。その池は、水門があり、管理されてる感じだったが、水草?みたいなものが浮かんでいる。僕はよく、竜兄に釣りに連れて行ってもらっている。魚との駆け引きが僕を夢中にさせているのだ。小学一年生の春ごろ、その日も釣りに連れて行ってもらったのだが、そこは、家の近くにある池だった。蓮が浮いており、蛙が鳴いている。鯉が、泳いでいる姿がある。
空「あ、コイ。」
竜「お、いるなぁ。だが、俺は狙ってない。今日は、昔逃がしたナマズを釣る。」
空「ナマズ?ナマズって、ナマズ?ヒゲが長くて、ドジョウみたいにヌメヌメしてる……。」
竜「よく知ってるな。」
空「叔父さんに教えてもらった。」
竜「あー、そっか。なるほど。」
日曜日の晴れた昼下がり、池に垂れ下がる糸と浮きを見ながら、僕は魚を食いつくのを待った。ふと竜兄が呟く。
竜「ひげが長かったのは間違いなかったが、ナマズだったか、アレは?確かにでかいナマズは、世界各地にいるし、日本にもビワコオオナマズがいるが、あれは、形的に・・・・。いや、でもな、うーん・・・。」
と考えてるみたいだったが僕はあえて聞かなかった。訊いてはいけない気がしたから。けど、気になる。僕は思いきって訊いてみた。すると、竜兄が言った。
竜「あれはだな、言うならばこの土地の主みたいなもんだな。土地神って言うのか、いや、この土地の水場を仕切る守り神のような存在になるかな。まぁ、見た目は普通のナマズに見えるが、異様にヒゲが長くてな。あと、ナマズにしては平べったい感じなんだ。普通なら丸みを帯びた体なんだけどな。」
分かったような分からないような感じで話を聞いていたんだけど、竜兄の言葉を簡潔に表すと普通のナマズではなく、神の使いだろうということだった。竜兄は竿先を見たまま微動だにしない。
空「なんで、釣ろうとしてるの?守り神なんでしょ?」
竜「親父から貰ったルアーを持っていかれたから。」
エサ釣りで、粘っている。だが、ナマズは釣れない。釣れるのは、コイ、フナ、カワムツ、カジカにブルー何とかという外国の魚やザリガニとテナガエビ等を釣り上げるが目的のナマズが全くもって釣れないので、竜兄が明らかにイライラしているのが分かった。で、竿を投げ出し「飲み物買ってくる!」と言って怒りながら、その場を後にした。僕はナマズが竜兄の事を理解した嘲り笑いながら池の中から見てるんじゃないかと思いながら池を見てると竿がしなった
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吉 - いいお話だと思います。新しい小説書くの頑張ってください (2016年11月12日 13時) (レス) id: f92c98848b (このIDを非表示/違反報告)
夜行 - 更新ありがとうございます。不思議な気持ちになるお話ですよね。 (2016年9月7日 17時) (レス) id: 689b4df6a4 (このIDを非表示/違反報告)
餓鬼魂 - 少し切なくってくるシリーズですね。好きな作品のうちの一つですよ。応援します。 (2016年9月7日 17時) (レス) id: 689b4df6a4 (このIDを非表示/違反報告)
陣 - おもしろいですね。更新応援させていただきます。 (2016年9月6日 21時) (レス) id: 689b4df6a4 (このIDを非表示/違反報告)
夜行 - 書き方変えてきましたね。前よりも、読みやすくなったと思います。 (2016年8月16日 12時) (レス) id: cd7a83a97a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カニ x他1人 | 作成日時:2016年2月14日 15時