箱 中編 ページ11
空「神様なの？」
竜「あぁ、この神社の社神だ。」
空「神…様…。」
その神様は、ニコニコ笑っている。巫女さんの服装で髪を後ろに束ねた綺麗な人で、いや、神様であるからかな。不思議なオーラを纏っている。暖かいような気持がいいような、まるで陽だまり煮るような感じがする。と竜兄が真面目な顔をして、箱を置く。神様も真面目な顔をした。箱を見るとさっきよりもどす黒く禍々しいオーラを放っている。怖いというよりは、気持ちが悪かった。なんだろうこの感じは。生唾を飲み込む。竜兄が、なにやら経文のようなものを唱える。と同時に、箱のふたがガタガタと揺れだした。隙間が開くと、そこから黒い靄が出てきた。それがだんだんと人の形を形成していき、黒い人間になった。竜兄の顔は険しさを増していた。神様も臨戦態勢を整えていた。黒い人型の何かは、禍々しいオーラに身を包み、目は真っ黒になっている。白いところがなく、目はすべてが黒くなっている。どす黒いオーラは、マイナスのエネルギーが溢れ出していた。殺意、妬み、嫉妬、憎悪、憤怒、嫉み、恨みなどのエネルギーが溢れ出てくる。体が動かない、動こうとしない。悲鳴も上がらずに、僕はただただ動けなかった。黒い人型の口が開いたと思ったら何事かしゃべり始めた。
黒「な…ん、で…だ。な…ぜ、裏…切った。憎い、憎い、憎い。」
空「ヒィ。」
竜「空、後ろにさがれ。」
神「問います。あなたは何ですか。」
黒「………。」
神「答えなさい。何者ですか。」
黒「…恨み、のみの、存在。」
竜「邪霊の類か。魔物に近いな。さてどうするか。」
黒「憎い、憎い、憎い。」
神「…まだ助かる見込みがあります。どうしますか。」
竜「助けられるなら、助ける。必ず。」
神「分かりました、始めましょう。」
竜兄が手を合わせて、真言を唱えだした。手の合わせ方が不思議な形をしている。神様も手を合わせて合掌している。黒い人型が苦しんでいる。耳を塞いで蹲り、唸っていた。が、徐々に黒い靄が無くなっていく。少しづつ、人の肌の色が戻っていく。さらに真言を唱える声が大きくなっていく。外がまた、台風のようにゴウゴウと風が吹き始めた。雷も鳴り響く。僕は思わず、「うわぁぁ
ぁ。」と声を上げた。真言は続いていく。外の風は凄みを増していく。黒い人型は尚も苦しんでいた。のた打ち回っていたが、心なしかマイナスのエネルギーが無くなっていた。それから数時間、真言は続いて終わるころには、外は晴れていた。
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吉 - いいお話だと思います。新しい小説書くの頑張ってください (2016年11月12日 13時) (
レス) id: f92c98848b (このIDを非表示/違反報告)
夜行 - 更新ありがとうございます。不思議な気持ちになるお話ですよね。 (2016年9月7日 17時) (レス) id: 689b4df6a4 (このIDを非表示/違反報告)
餓鬼魂 - 少し切なくってくるシリーズですね。好きな作品のうちの一つですよ。応援します。 (2016年9月7日 17時) (レス) id: 689b4df6a4 (このIDを非表示/違反報告)
陣 - おもしろいですね。更新応援させていただきます。 (2016年9月6日 21時) (レス) id: 689b4df6a4 (このIDを非表示/違反報告)
夜行 - 書き方変えてきましたね。前よりも、読みやすくなったと思います。 (2016年8月16日 12時) (レス) id: cd7a83a97a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カニ x他1人 | 作成日時：2016年2月14日 15時
