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別れ、出会い 後編 ページ2

葬儀が終わり、家族会議が行われた。僕をこれから誰が育てていくのかを決める会議を行ったらしい。僕は、壁に腰かけている竜兄ちゃんの胡坐の上で、座ったまま眠っていた。泣き疲れて。会議は、祖父母の家に置いていくか、恭介さんの家に置くか、児童養護施設に送るかで話していたらしい。だけど、竜兄ちゃんが、「俺が育てる。」と言い出した。「何言ってんだい。」「そうだ。子育てをしたことがない君に、できることじゃない。」「こいつの気持ちを汲んでやれよ。俺がどうのこうのじゃない。一番血のつながりのある俺のそばに置くことで、さみしさを薄れさせようとするんだ。」「だが、お前…。」「俺は、こいつを見捨てない。児童養護施設には、行かせない。もう、寂しい思いは、させたくない。」そこでみんな黙ったらしい。そこで会議が終わり、最後に起きた僕に向かってじいちゃんが、「お前は、年の離れた実兄の家に行くんだよ。そこが、お前の新しいうちだ。たまには遊びにおいで。」と言ってくれたことは今でも、覚えている。そして僕は、竜兄ちゃんにおんぶされながら、家に向かっていた。で僕は、「兄ちゃん。」「ん?どうした。」「眠いよ。」「なら、寝てろ。次起きたときは、そこがお前の家だ。」そして僕は眠りについた。
 朝、起きてみると、そこは、日本特有の平たい屋敷だった。庭が大きく、池があり、鯉がはねていた。長めの廊下を進むと、竜兄ちゃんが、ラジオ体操をしていた。僕はその光景を眺めていた。ラジオ体操が終わり竜兄ちゃんが振り返り、僕の存在に気付くと手を軽く振って、「おはよ。」と言って僕の頭を軽くポンポンした。「う、うん。おはよ。」「ここがお前の新しい家だ。寛いでもいいんだぞ。」「うん。」「さっきから、生返事だな。」「うん。」と竜兄ちゃんが何を思ったか、僕の脇腹をくすぐり始めた。「ククッ、ククククッ、ヒヒヒヒヒヒッ。」くすぐったい。もうやめてほしいと思ったがやめなかった。数10分後、ようやく収まった。僕は笑い疲れていた。と竜兄ちゃんが、「そうだ笑え、いつまでも、メソメソしていても、おふくろと親父は帰ってこない。天国にいるあの二人を安心させたいなら、笑え。」と言い、僕の頭を再度ポンポンした。僕は、泣かなかった。両親を安心させて、見守らせていくために、もうこんなことのために、泣かない、泣くもんかと思った。そして今日から、僕は、竜兄ちゃんの家で暮らして、色んなことを体験していく。非日常の世界を。

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設定タグ:竜兄ちゃん , オカルトシリーズ , 心霊通信   
作品ジャンル:ホラー, オリジナル作品
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- いいお話だと思います。新しい小説書くの頑張ってください (2016年11月12日 13時) (レス) id: f92c98848b (このIDを非表示/違反報告)
夜行 - 更新ありがとうございます。不思議な気持ちになるお話ですよね。 (2016年9月7日 17時) (レス) id: 689b4df6a4 (このIDを非表示/違反報告)
餓鬼魂 - 少し切なくってくるシリーズですね。好きな作品のうちの一つですよ。応援します。 (2016年9月7日 17時) (レス) id: 689b4df6a4 (このIDを非表示/違反報告)
- おもしろいですね。更新応援させていただきます。 (2016年9月6日 21時) (レス) id: 689b4df6a4 (このIDを非表示/違反報告)
夜行 - 書き方変えてきましたね。前よりも、読みやすくなったと思います。 (2016年8月16日 12時) (レス) id: cd7a83a97a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:カニ x他1人 | 作成日時:2016年2月14日 15時

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