箱庭少女の孤高哀歌【瞬木隼人】Part12

#計算内、計算外 ページ50

やがてボールは地面にぶつかり、弾んでグラウンド内を転がって行く。

そのボールに追い付こうと2人は駆ける。


そうしてボールを勝ち取ったのは……



ﾋﾗﾘ「リュゲル！」



………敵側の選手だった。


僅かだが怖い人の方が速かったらしく、彼女はボールを取るとすぐに別の選手にパスを出した。

すると託された白い人はそのままボールを蹴り込んで、ノーマルシュートを放った。


不意をつこうと思ったんだろうけれど、西園君はボールをまた弾いて、再び守ってみせた。


しかし、ボールを弾いた先には黒い人がいて
彼の足元丁度にパスするような形になってしまう。



真名部「西園君、次来るよ！」

信助「うん！」



真名部君も黒い人にボールが渡るのを見て取ったのだろう。

瞬時に西園君に指示を出し、西園君はそれに対応。


結果、再び彼はボールをパンチングで防いでみせた。



西園君、凄い……！

小さいのに、ちゃんとゴール守ってるよ…！



だが跳ね返ったボールはまたしても相手選手
しかも剣城君に渡ってしまった。

これには私も得点を決められるんじゃないかと内心ﾋﾔﾋﾔしたけれど
この先の動きを予想していたのだろうか。真名部君がすかさず剣城君の前に回り込むと、何処か得意気な顔をして彼の前に立ちはだかった。



真名部「計算の内です！」

剣城「……ﾌｯ」



でも動きを予想され、邪魔されたはずの剣城君は口元に怪しげな笑みを浮かべると
次の瞬間、まるで『これも計算出来るか？』とでも言わんばかりのトリッキーな動きを見せつけた。

これには流石の真名部君も翻弄され、あっという間に抜いてしまうと
ボールを白と黒の兄弟に繋げて、指示を放った。



剣城「決めろ！」

｢「おう！」｣



ま、マズイ……！

あの2人の技はっ……！！



『『スクリーム・オブ・エデン！！』』

信助「やらせない！」

『ぶっとびパンチ！！』



2人の強烈なシュートに西園君も抗い、必死に食い止めようとしたのだが
彼等の桁違いな威力のシュートに西園君は歯が立たなかった。

そのままボールはゴールに突き刺さり、相手チームに得点が入ってしまう。



得点は1-2。


相手の優勢だ。

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