箱庭少女の孤高哀歌【瞬木隼人】Part12

#卑怯な作戦 ページ44

ﾋﾗﾘ「ロダン！」



巡り巡ってボールは怖くて小さな子に託された。

さっき監督からの指示もあったから、今度は何するのかと思ったけれど、特にそういう動きは見せず。

向かって来た皆帆君に緩くボールを蹴って意表を突き、そのままボールは弾みながらゴールへと転がって行った。

でも小さい子はそのボールを追おうとはせず
今までと違い生ぬるいボールに、私は違和感を覚えた。



トラップミス…？それともパス仕損ない？

どちらにしろ今までこんなミスしなかったから、ちょっとビックリ。


でもどうしてだろう……？

ミスしたのにどうして、あの子笑ってるんだろう……？



井吹「何…？！」



ﾄﾝﾄﾝと転がるボール。井吹君もちょっと驚いてるみたい。

でもそのまま放置だとゴールに入ってしまうので、井吹君はそれを取ろうと前に出る。


次の瞬間。



井吹「っ……？！」



井吹君の左右から白と黒の兄弟がスライディングで突っ込んで来た。

しかも、井吹君が引きずっていた右足目掛けて。



これには井吹君も悶絶物で、その場から動けず苦痛に顔を歪めた。

しかしボールはしっかりと胸に抱いていた。


私はその時の痛みを想像して、思わず目を逸らしてしまう。

だってあんな、スライディングで挟んで足を攻撃するだなんて……
じゃあ、最初にあのおチビさんがボールを転がしたのは、井吹君を前に出させる為の罠だったって事なの…？



………なんて、卑怯。

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