箱庭少女の孤高哀歌【瞬木隼人】Part12

#楽しんでないよ ページ33

皆帆「森村さん！」

森村「はい！」



だがすぐに皆帆君と好葉ちゃんがカバーに向かった。

2人でスライディングをしてプレッシャーをかけ、見事ボールを外へと弾いた。


難を逃れ一安心したい所だけれど、キャプテンは苦い顔をしてその場に佇んでいた。


多分、自分を責めちゃってるんじゃないだろうか…
自分のせいで皆の足を引っ張っちゃって、みたいな。

まるでいつもの私のように。


でも仕方ないよ、キャプテン。
だって相手にはあの剣城君がいるんだもん。

親友であるキャプテンなら1番動揺しててもおかしくない。
そのせいで今日のキャプテンは実力の半分も力を引き出せていないように感じる。


キャプテンにこそ思い切りプレイして欲しいのに…



野咲「ねぇ、キャプテン」



悩んでいる様子のキャプテン。
そんな彼に歩み寄るのは、意外にもさくらちゃんだった。



野咲「前にも言ったよね？私に『どうして苦しんでるの？』って。『心からサッカーを楽しんでない』って。

…私には、今キャプテンがそういう風に見えるよ」



さくらちゃんはキャプテンの目を見つめながら、そう言葉を続けた。


確かにさくらちゃんの言う通り、今のキャプテンはサッカーを心から楽しんでいるようにはとても見えない。

寧ろ苦しんでいるんじゃないかって思える。


そんなの、キャプテンらしくないよね。



天馬「…俺が？」

鉄角「おいおい…こんな時に楽しくとか言ってらんねぇだろ」

真名部「負けられない試合なんですよ」

野咲「それは、そうだけど…」



でも鉄角君と真名部君は案外真面目だから、さくらちゃんの言葉に突っ込んだ。


さくらちゃんは困ったように眉を顰めて、キャプテンの方を見遣る。

キャプテンは相変わらず浮かない顔をして俯いていた。


……今のさくらちゃんの言葉、キャプテンにはどう響いたのかな。

#秘めたる想い→←#痩せ我慢

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す