箱庭少女の孤高哀歌【瞬木隼人】Part12

#命を懸けて ページ19

天馬「でも…折角集めた希望のカケラが奪われてしまって…」



本物のカトラさんに会えた喜びから一転
やっと集まった希望のカケラが奪われてしまった事を告げると、キャプテンはｶﾞｸﾝと肩を落とした。

でもカトラさんはﾆｺﾘと笑うと、焦る事なくたおやかに答えた。



ｶﾄﾗ「安心して下さい。4つの石は私の元に届きました」

天馬「えっ…？じゃあ、これで宇宙は…！」

ｶﾄﾗ「残念ながらまだです…」



その言葉にキャプテンは顔を上げて一瞬明るい表情を浮かべたが、現実はそう甘くないらしい。

カトラさんは真剣な表情をして、そのまま言葉を続けた。



ｶﾄﾗ「最後の条件はこの試合に勝利する事」

天馬「…勝てば宇宙を救えるの？」

ｶﾄﾗ「はい。……ただ、」

天馬「ただ…？」



そこまで言ってしまい、カトラさんは口を1度噤んだ。


刹那の間、複雑な表情を垣間見る。
悲しむような、怒ってるような、悔やんでるような。色んな表情が混ざった感じ。

でもすぐにキャプテンを真っ直ぐに見つめると、カトラさんは表情を引き締めて更に続けた。



ｶﾄﾗ「…この闘いは、かつてないほどに激しいものとなるでしょう。貴方達にも命の危険が及ぶやもしれません。

……命を賭けて、闘えますか？」



…予想だにしなかった展開だ。
まさか命に関わってくる試合になるとは。

私達を気遣っての問いなのだろう。
少しだけ口調が強かった気がした。


だけれどキャプテンはその厳しい問いに、笑顔で答えた。



天馬「…皆そうだったよ。どの星の選手達も、命を賭けて闘っていた。俺達はその姿を見届けて来たんだ。

だからフィールドに立つ以上は自分達の全てを賭けてぶつかってくつもりさ！」



脳裏に浮かぶ、今までの試合。

闘って来た敵の人。星の人。
その全てが例外なく皆、自分の星を守る為に命懸けで立ちはだかった。


それに私達も全力で答えた。
全力でプレーして、命を張って、ここまでやって来た。


ここで惜しむワケがない。それは他の皆も同じ。

キャプテンだってわかってる。
だからキャプテンは笑顔で続けた。



天馬「絶対に勝って宇宙を救う！俺達を信じて送り出してくれた色んな星の仲間達の為にも！」

ｶﾄﾗ「…はい！」



キャプテンのハッキリとした答えに、カトラさんも頷いた。


もう心は決まったようだ。
だって表情に曇りが無くなってったから。

#緊張と負担→←#復讐

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す