箱庭少女の孤高哀歌【瞬木隼人】Part12

▽欠けたパズルのような心で△ ページ1

『あの人は意地悪だ』

『アイツはホントに意地が悪い』



『だっていつも私をからかってくるんだもん』

『だっていつも周りに愛想振りまいてるんだから』



『こっちの気も知らないで』

『こっちの気も知らないで』



『それなのに時々優しくしてくれたり、頭撫でたりしてくれて』

『それなのにアイツ、俺が相手だと時々変になるし』



『ズルいよね、そういうの』

『ちょっと期待しちまうじゃん』



『でもわかってる。あの人は私をそんな風に見てないって』

『でもわかってる。アイツは俺の事そう思ってはいないって』



『だからこの気持ちは多分、打ち明かす事はないと思うの』

『だからまだ暫くはさり気なくアタックしてみようかと思ってる』



『でも私、大好きって伝えたのに』

『でも結構俺、今までもそれっぽく接してたんだけど』



『あの人、きっと鈍いんだ』

『アイツ、鈍感過ぎるだろ』



『うぅ…このまま気付かれなかったらどうしよう』

『あーあ、このまま気付かれなかったらどうしよう』



『ずっとこの苦しい想いを抱えたままでいなきゃいけないのかな…？』

『下手すりゃ一生このもどかしいままだ』



『こうなったら私から言った方がいいのかな…』

『こうなったら俺から言った方がいいのか…？』



『でも断られたらどうしよ…』

『でも断られたらどうしよ…』



『それにあの人に私はきっと不釣り合いだし…』

『だけどアイツは取られたくない』



『このままでもそばにはいれるし…』

『このままでもそばにはいれるけれど…』



『でも、やっぱり……』

『でも、やっぱり……』




同じようで違う、2人の気持ち。

まるで欠けたパズルのよう。


欠けたパーツの形は同じでも、欠けた所が僅かに違う。


いつか2人は気付くのか。

お互いのパーツを補い合えば、パズルは完成するんだと。



いつになったら2人は気付くのか。

最初からお互いの気持ちは全く同じだったんだと。

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