世界征服〜僕らのサーカス〜【イナGO】 VSフィフスセクター編 第陸幕

ハウトゥー世界征服 東 285 ページ8

『ｷﾞｯ、ｸﾞｩｯ……』



しかしシュウにとってはあまり良くないみたいなのか
霧のような靄が立ち込めてすぐ、苦しみ始めた。

口元を抑えて前のめりになり、指の隙間からは血が漏れる。



……どうなって、いるんだろう、これ。



きっとこの�猝賢瓩惑塾呂澄�
僕達と同じ、造りものの力。

しかしこの力は《イドラのサーカス》の団員のものではない。
僕達以外の能力者だ。


だとしたら、それは誰なのか。


そしてこの能力は、一体どんなものなのか。



「……って、こんな事考えてる場合じゃないよね」



脳裏にある彼の姿が浮かび上がった所で僕は自分に言い聞かせるように呟く。

その時、ふとシュウの動きが止まっている事に気付き、僕はすぐにシュウの方へと駆け出した。

シュウはよほど苦しいのか、肩で息をしている。
そのせいか先程まで蠢いていた植物の動きが鈍り、止まり、動かなくなっていた。



不思議だな。僕は全然大丈夫なのに。
寧ろ気分が楽になるようで、癒されるようにも感じるのに。

やはりこれは普通の霧ではないな。



「ごめんね、シュウ。ちょっと痛い、よッ！！」



向かって行く僕にシュウは気付き、何本か植物を僕に向かわせた。

しかし弱っているせいかその勢いも先程より劣っており、難無くかわせた。


ついでにそのうちの1本を足場にして伝って行き、シュウの背後に回り込むと
僕は再び右手で銀のナイフを創りあげ、真っ黒い花の中心に向けて、ナイフを思い切り突き刺した。



直後に上がるのは、シュウの絶叫。


劈くような、鼓膜が破れそうな叫び。
それが一帯を埋め尽くす。



ああ、ああ、痛いよねシュウ。苦しいよねシュウ。

ごめんね、ごめんね。僕だってこんな事やりたくないんだ。
許して、ああ許してシュウ。



叫び声を聞いて心の中で必死に謝りながら、僕はナイフを1度引き抜いた。

ナイフには血のような液体が付着し、真っ赤に染まった。
少し手にも付いてしまった。生暖かくて気持ち悪い。



僕はそれを見ないようにして、もう1度中心に向けて振り下ろした。

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