世界征服〜僕らのサーカス〜【イナGO】 VSフィフスセクター編 第陸幕

辻 324 ページ47

「霧野〜〜！！良かった無事だったんだ〜〜！！！」



フィフスセクターの基地に戻るなり、俺は居合わせた浜野に抱き着かれて、持っていた和菓子の入った袋を幾つか落としてしまった。

しかし浜野の気付いていないのか、苦しいぐらいに俺を抱き締め、周りにいた倉間や速水、瀬戸、山菜、狩屋、輝達は呆れた顔をしていた。



「おいおい、浜野…そこらにしとけ」

「だ、だってだって！霧野が戻って来たんだよ？！
1人だけ戻って来ないし、連絡も取れないしで半日も経ってちゃ心配にだってなるでしょ？！」

「いや、私達だって心配はしてたケドな…
でもだからってその歓迎は喧しいわ」

「…迷惑、かも」



「ほれ、離れろ」と瀬戸によって浜野は引き剥がされ、俺は一息つく。



…そう言えばあの日からもう半日経っていたんだっけな。

それなのに連絡も無しで戻って来ないのなら、確かに心配にはなるか。



1人考えて浜野のリアクションに納得すると、落としてしまった袋を拾う為その場にしゃがみ込み、持っていた袋も1度全部置いてからその袋を拾い上げた。


そう言えば和菓子と言ってもどんなお菓子か聞いてなかったな………

派手に落としてしまったが、グチャグチャになってなければいいのだが……



「…ていうか霧野先パイ、さっきから気になってたんですけどソレ何ですか？」



落とした袋を全部拾ってまた両手に抱えようとしたら、やはり気になったのか狩屋が俺に尋ねた。

なので俺は素直に答えた。



「ああ、これか？和菓子だ」

「和菓子…？それもこんな大量に」

「ある人に貰ってな。皆で食べろって」

「ある人…？誰だよ？」

「それは……」



一瞬そのままの勢いで答えそうになったが、よくよく考えたらヤバイのではないかと思い口篭る。



確かエリカさんはフィフスセクターにスパイとして潜入してたらしいし……
教えてしまったら俺はまた色々と疑われてしまうかもしれない。

それに皆も水下さんの正体なんて知らないだろうし……



知られたらあの人、どうなる事やら……

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