世界征服〜僕らのサーカス〜【イナGO】 VSフィフスセクター編 第陸幕

ハウトゥー世界征服 東 323 ページ46

そう、彼は過去にも何度か僕を殺そうとした事がある。
理由はよくわからないけれど。

ついこの間だって首絞められたし、能力で針山に刺されそうになったし。


そんな彼が何を今更『死なれたら嫌だ』とほざいているんだろうか。

ホントは心から僕の死を望んでいるクセに。
ホントは僕がいなくなってほしいクセに。



隼人は本当に、天邪鬼だ。



「……あれは、ただ…」



隼人の瞳が揺れ動く。
その顔は強ばっていた。

でもその先が言えないみたいで、彼は口篭ったまま固まった。



「別に怒ってなんかないさ。寧ろ僕は嬉しい。

キミにそんなにも恨まれているのがね」

「…！」



僕の左手を掴んだままの隼人の手の上から、僕は自分の白い手を重ねて告げた。

すると隼人は視線を僕に戻してﾊﾟﾁﾊﾟﾁと目を瞬かせた後、ふるふると首を横に振った。



「ち、が……俺は、そんなんじゃ…！」

「じゃあ、何だって言うの？それがキミなりの愛の形なの？」

「……それは……」

「良いんだよ隼人。僕は恨まれて当然なんだから。

だから、さ。その気持ちを忘れないでくれない？
そうしていつか殺してよ、キミの手で」



彼の手を撫でながら、僕は微笑む。

すると隼人はまた不快そうに眉を顰めて僕を見つめた。



そう、それでいい。
僕は愛されるより、恨まれるのが性に合っている。

そのまま殺してくれれば本望。
苦しめてくれれば尚上出来。

自身で罰を与えても何の意味も無いから、キミ達に頼むしかないんだよ。


そうしないと�猗爿瓩砲盍藐�け出来ない。



「それまで僕は、キミを愛してあげるよ。
その恨みも、嫌悪も、憎悪も、全てを受け止めて、飲み込んで、愛してあげる」



真っ直ぐ隼人を見つめながら、そっと彼の手を離す。

そして掴まれていた左手を引くと、隼人の手からするりと抜けた。



「……包帯、ありがとうね。

キミがどんな風に僕を終わらせたくれるのか、楽しみにしてるね」

「………………」



最後に僕はﾆｯｺﾘ笑ってから、軽く手を振り部屋を出る。
部屋に隼人を1人残して。


そのまま廊下を歩いていたけれど、追い掛ける様子は無し。

これは暫く口効いてくれないかもな。



「……でも仕方ないじゃない。
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前も後ろも右も左も、暗闇なのに変わりはないんだから。


そんな所で生きていても、気が狂ってしまいそうになるだけなんだから。

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