世界征服〜僕らのサーカス〜【イナGO】 VSフィフスセクター編 第陸幕

ハウトゥー世界征服 東 322 ページ45

そのまま隼人に引っ張られ、連れてこられたのは僕の部屋。

他人の部屋なのにも関わらず問答無用で中に入ると、彼は僕の手を掴んだまま部屋の棚に移動し、空いた方の手だけでｺﾞｿｺﾞｿと中を探り始めた。



目の前に部屋の主がいるんだけれど…

まぁ、別に見られて困る物は無いし、どうせ救急箱を探してると思うんだけれど。



文句を言っても適当に流されるだけだと思い、僕は黙って隼人の行動を見ていた。

少しして隼人は案の定そこから救急箱を取り出し、そこから包帯とガーゼを出すと
彼は器用に片手でガーゼを僕の左手の傷口に当てて、流れていた血液を拭い取る。


その手際は不快そうな表情とは裏腹に、優しかった。



「……痛くないのか？」

「うん、平気」

「…」



流れていた血を拭い取ると彼は新しいガーゼを使い傷口を覆う。

更にその上に包帯を巻いて圧迫すると、慣れた手つきで包帯を僕の左手に巻いていく。



「相変わらず隼人は器用だね。包帯の巻き方も綺麗だし」

「……」

「…でも別にここまでしなくってもいいんじゃないかな？」



言いながら思わず苦笑すると、彼の視線が手元から僕へと向かう。

そして一瞬だけ手を止めて、鋭い眼光で僕を見たが
すぐにまた視線を戻して包帯を巻き始めた。



「……お前こそ、すぐに死のうとするのやめたら？」



おもむろに隼人は口を開くと、ぶっきらぼうにそう言った。

僕は一瞬どう反応しようか迷って、結果口から乾いた笑い声しか出せなかった。



「何ヘラヘラしてんだよ。こっちは真面目に言ってんのに」

「いやぁ……だって拓人じゃないんだから」

「お前の場合はアイツよりも質が悪い。
テメェがいなくなったら俺達がどーなるのか、少しは考えたらどーなんだ？」

「皆は大丈夫だよ。だって仲良いし、ちゃんと助け合ってるし。僕がいなくても充分やってける」

「俺は無理だ」

「…」



隼人は眉間に皺を寄せながらハッキリとそう告げた。


そんな話をしている間に包帯を巻き終わったのか、最後に�牘騰瓩琶饌咾鮴擇辰特爾鮖澆瓩襦�

そうして指の傷は綺麗に処置されたのだが、隼人はまだ僕の手を離してはくれず、僕の瞳を真っ直ぐに睨みつける。



「……そんな事言って、何度も僕を殺そうとしたクセに」

「…！」



怖い顔をした彼に向かって僕は口元に笑みを浮かべると、首を傾げながら言ってやった。

すると隼人の瞳は微かに見開かれ、僕の手を掴むその手に力が込もる。

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