辻 282 ページ5
「…霧野、コレ使って」
ジリジリとにじり寄って来る2人と対峙していると、ふとイドラは右手の袖から何かを取り出して、俺に差し出した。
ソレはナイフだった。真っ赤な柄に真っ赤な刃の。
まるで血にでも漬けたかのように、それはそれは真っ赤な。
……きっと彼女が創ったんだろう。
しかしそれにしたって趣味が悪い。
さっきのカメラだって、思いっ切り目玉のようだったし。
彼女の趣味は一体どうなってるのだろうか。
「ソレはただのナイフじゃない、銀のナイフだ」
「銀の…?」
「吸血鬼に普通のナイフはあんまり効かないんだ。
特に白竜は自己治癒能力が高いから、すぐに傷が塞がっちゃう。
でもそれで胸を一突きすれば、彼も流石に死にかけるよ」
「む、胸を……一突きって……」
……何とも簡単に言ってくれよう。
こっちは人を刺した経験なんて全くと言って無いのに。
でも今はそんな事は言ってられない。さっきイドラが言ったようにやるしかないんだ。
でなければきっと俺の方が死ぬだろう。
俺はイドラからありがたくナイフを受け取ると、構えて正面の白い少年と再び対峙する。
彼は確か…白竜と言ったか。
虚ろな瞳で俺達を見据え、口元の牙をチラつかせる彼は最早人間ではなかった。
「白竜は頼んだよ、霧野」
「ああ」
「あと、無理しないでね。ダメだったら僕に頼って」
「……そっくりそのまま返してやるよ」
言うが早いか、直後に俺は踏み出すと真っ直ぐ白竜に向かって行った。
すると彼もこちらに向かって走り出し、鋭利な爪を構えて突き出した。
俺はソレをナイフで受け流すと、その腕を掴んで彼の向かって来た勢いを使い、そのまま彼を背負い投げた。
白竜は強く背中をうち、一瞬苦しそうな声を漏らす。
そんな彼に俺は跨り、そのままイドラの言うように胸を一突き…と、思ったのだが、やはり簡単にいく相手ではない。
白竜は爪を猫のように突き立てたまま腕を振り回し、俺が怯んだそのスキを突いて起き上がると
振り返るついでに腕を大きく振って、俺の頭を狙った。
幸い反射的に避ける事が出来たが、その際に爪が顔に掠ってしまい
俺の頬にまた新しい擦り傷が出来てしまう。
血も出ているのか、そこから生暖かい液体が流れる。
「……やっぱ、簡単にはいかないか……」
俺は一旦彼から距離を取り、頬から流れた血を拭って呟いた。
白竜はおもむろに俺を引っ掻いた爪を舐めると、口元を歪めて笑った。
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いろは@裏垢(プロフ) - *IJu*さん» そうなんですよ…… もう絵は出来上がっているんですけどバージョンが古いのか容量が足らないのかわかりませんが反応が遅くて………まぁ頑張ります!年単位では絶対に有り得ませんけど笑 1日でも早く載せることができるように最善は尽くします(; ・`д・´) (2017年8月11日 20時) (レス) id: 85a6a05115 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - いろは@裏垢さん» こんばんは! 没収されてしまったんですか……大丈夫ですよ、無理はしないで下さいね? こちらは何日でも何年でも気長に待ちますから〜! (2017年8月11日 1時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
いろは@裏垢(プロフ) - *IJu*さん» こんにちは!実は、親に携帯を没収されて…。それでこっちで送りたいのでもう少しかかるんです。すみません。 (2017年8月9日 20時) (レス) id: 85a6a05115 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - いろは@まろうさぎさん» コメントありがとうございます! いえいえ、気長に待っているので大丈夫ですよ〜! 慌てないで下さい( ˇωˇ ) 完成楽しみにしてますね〜! 更新頑張ります!、 (2017年8月6日 0時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
いろは@まろうさぎ(プロフ) - *IJu*さん» すみません!!出来上がりに手こずってしまい……あと2日ほどで塗り終わりそうなのでそれから載せさせて頂きます。更新がんばってください! (2017年8月5日 9時) (レス) id: c9a372b3fb (このIDを非表示/違反報告)
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