○醜い心○ ページ48
やがて私はお店とお店の間の目立たない所の奥に入り込んで、乱れた息を整えた。
でも幾ら深呼吸しても胸が苦しくて、苦しくて。
「うっ……うぅ……うぇぇ……」
思わず、涙が溢れ出る。
ルーデンに折角会えたのに、前みたいに楽しくお喋り出来なくて。
私はその場に蹲り、声を殺して泣いてしまう。
……こんな病気になってなければ、今頃普通にお喋りしていたんだろうな。
病気の私が関わるとルーデンも仲間外れにされちゃうとか、そんなの全然気にしないでさ。
ううん、まず村からも追い出されてなんかいなかった。
お父さんとお母さんも私を置いて出てったりしなかった。
どうして私ばっかり、こんな目に合わなきゃならないんだろう。
どうして私ばっかり。
こんな醜い病気になってしまったばっかりに。
どうして、どうして私なの。
きっと誰も悪くない。
でも誰かのせいにしないと、気が済まなくて。
そんな心まで醜い自分が惨めで嫌で。
更に私は涙を流した。
「どうした、A?」
そんな時、ふとゴウセルの声がした。
きっと私を追い掛けて来たんだ。
相変わらず優しい人だ。
彼は私のそばまでやって来ると私と同じようにしゃがみ込み、そっと私の頭を撫でてくれる。
ゴウセルの手は私より冷たいけれど、でもとても優しい。
いつもはこの手に撫でられるととても嬉しくて、安心するの。
……安心するのに。
「うっ、ぅ……うぅ……」
「……」
この時の私には余裕が無かった。
だからただ泣く事しか出来なくって、ゴウセルは不思議そうな顔をしていた。
……そう言えばゴウセルは、どうしてルーデンの事を知っていたんだろう?
私、ルーデンの話は1度もした事がないのに。
それなのにゴウセルはルーデンの事を知っていた。
もしかして、知り合いだったり……するの、かな。
「どうしたんだ?」
「どう、してっ…?」
ゴウセルがまた私の心配をしてくれた。
でも今の私は浮かんだ疑問の答えが知りたくて。
ゴウセルの言葉に答える代わりに、私は疑問をそのまま口にした。
「どうして……ゴウセル…は、ルーデンを……知って、るのっ…?」
泣きながらだから言葉が途中途中で詰まってしまいながらも、なんとか伝える。
するとゴウセルは首を傾げながらパチパチと瞬きを繰り返す。
やがてゴウセルはおもむろに右手を顔の位置に掲げ、人差し指を立てると
その先をビリビリと光らせながら答えた。
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*IJu*(プロフ) - フウさんさん» コメントありがとうございます〜!お気に召して頂けたようてま( ˇωˇ ) なるべく早く更新できるように頑張ります…! (2018年7月23日 0時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
フウさん(プロフ) - すごく面白いです!!!早く続きみたいです!! (2018年7月22日 10時) (レス) id: 68aa123671 (このIDを非表示/違反報告)
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