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○ゴウセル、ゴウセル○ ページ15

「っ……ぅ…」



不意に足が何かを引っ掛けた。

そのせいで私は前に転んでしまい、思わず呻き声をあげる。


けれどすぐに立ち上がると、私はまた駆け出した。


膝が、痛い。擦りむいちゃったかな。

見てないけれど、多分そう。



でもこれぐらいなら我慢出来る。

今ならきっと何だって我慢出来る。



狒瓩、早くゴウセルを見つけないと



私の頭の中はソレでいっぱいだったから。



「ゴウセル!?

何処なのゴウセル!?」



もう少しで今日も行った花畑。

そこにいるいる根拠なんて何処にもないけれど
何となく此処に来ている気がした。


…ううん、多分他に思いつかなかった。

ゴウセルが逃げたなんて、考えたくなかった。



「ゴウセル…!!

ねぇ、何処なのゴウセル!?返事をしてっ!!」



一度足を止めて辺りを見渡す。

でも見えるのは草木ばかり。
ゴウセルの姿なんて何処にも。


此処にも、いない。彼はいない。

じゃああと考えられるのは……



「っ……!!?」



取り乱した頭でゴウセルの行きそうな場所を考えていたら
不意に視界の端に動く影が見え、私はそちらの方を振り向いた。



マゼンタ色の髪の毛。

お人形さんみたいな綺麗な顔。

私よりずっと大きな背。



「ご、ゴウセル……!!」

「やあ、A」



そこにいたのは紛れもなく、私の探していたゴウセルで。

ゴウセルは片手を後ろに回したまま、もう片方の手でピースしながら私に声を掛けた。


そのいつも通りの反応に、一瞬収まっていた涙がまたボロボロと流れる。

病気の事なんて忘れて私は思わずゴウセルに抱きつくと、私は何度も何度もゴウセルの名前を呼んだ。



「ごっ……ゴウセル…ぅ、ぅ……!
ゴウセル……ゴウセルっ……!!」



…自分でも醜い声だと思った。

当たり前だ。涙とか鼻水とかでもうめちゃくちゃだったんだから。


でも抱きつく腕に力を込める。

ゴウセルの胸元に顔を埋める。



そこでようやくゴウセルを見つけたんだと。

幻なんかじゃなかったと確信して、また別の涙が頬を伝った。



「……」



そんな私をゴウセルは終始、不思議そうな顔をして見ていた。

多分、反応に困っていたのだろう。
こんなにも派手に泣いたのは、私も産まれて初めてだったから。


でもゴウセルは決して拒もうとはしなかった。

それが素直に嬉しかった。



「っ…?!」



………でも、いきなり背中を摩るのはビックリした。

○バカ○→←○いやだ○



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*IJu*(プロフ) - フウさんさん» コメントありがとうございます〜!お気に召して頂けたようてま( ˇωˇ ) なるべく早く更新できるように頑張ります…! (2018年7月23日 0時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
フウさん(プロフ) - すごく面白いです!!!早く続きみたいです!! (2018年7月22日 10時) (レス) id: 68aa123671 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*IJu* | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年1月23日 1時

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