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初めてだった。

私のファーストキスだった。

おそ松との初めてのキスだった。



私の中の思考が一瞬停止する。

その間、目を閉じたおそ松の顔を呆然と見つめていた。


そうして頭がやっとまともに使える頃にはもうおそ松はとっくに離れていて
さっきの余裕な態度は何処へやら、耳まで真っ赤になってそっぽを向くおそ松がそこにいた。



「……」

「…なっ……な、なぁんてな!今のはちょっと、キスしたかっただけ!!いきなりごめんな、A?」



更には急にヘタレになってしまったのから照れくさそうに頭を掻いてそう弁解するおそ松。

でも私はそんな事よりも別の事に衝撃を受け
指に挟んでいた、自分の吸っていた短いタバコを灰皿に押し付けると、そんな彼に今度は私から近付いた。



「ねぇ、おそ松。もう1回やって」

「えっ…え、ええっ!?」

「今のもう1回、お願い。一瞬だけだったけれど、凄く落ち着いたの。タバコなんかより、落ち着いたの」



自分で言葉を表すのは難しい。
けれどとにかくあのキスをした瞬間
私の口が落ち着いた。安心したのだ。


別に変な気持ちからではない。
確かに期待していないワケでもないが、長年悩んでいた事が解決するかもしれないのだ。

そう思ったら、言わずにはいられなかった。



「い……ぃ、いいの?」

「うん、いいよ。おそ松になら。
…いや、おそ松だからいいよ」

「〜〜〜〜っ」



ちょっと恥ずかしかったかな。
大丈夫、言った私も少し気恥ずかしかった。


おそ松は明らかに動揺してしまっていて、ガシガシと乱暴に自分の頭を掻くと
茹でタコのように真っ赤な顔をして、ガシッと片手で私の肩を抱いた。



「ったく……!折角タバコ吸い始めたのに!」



半ば逆ギレでもう片方にあった、まだ火をつけ始めの長いタバコを彼も灰皿に押し付けると
流れるように私の頭の後ろに手をやって、私達はもう一度キスをした。

雨宿り【ゼルドリス】→←*



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葉月 - *IJu*さん» お返事ありがとうございます!お待ちしております! (2018年3月29日 15時) (レス) id: b8eba8719c (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - 葉月さん» リクエストありがとうございます!了解しました〜!お話が浮かび次第更新致しますので、暫しお待ちを! (2018年3月29日 1時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
葉月 - リクエスト失礼致します!男主くんのソウルが試合中に暴走してしまい暴走で雷門イレブンを傷つけ京介を傷つけそうになった時に京介が男主くんに「目を覚ましてくれ!」的な事を言って目を覚ますけど気を失う〜…みたいなどシリアスな小説をお願いします! (2018年3月29日 0時) (レス) id: b8eba8719c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*IJu* | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年1月14日 23時

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