盗み聞きなのです ページ36
私は忍び足でドアの前に歩み寄り、そっとドアの隙間から中の様子を覗く。
すると、ドアの隙間からは椅子に座って何かの資料を見ているヒロトさんの姿が見えた。
…男性の方はわかりました。
しかし、女性の方は見えません、不明です。
………も、もしかして、ヒロトさんの恋人…！？
『姉さん、彼はそれで…病院に？』
『そう、長期入院だそうよ』
……違いますね、ハイ。
どうやら女性の方は瞳子さんのようです。
つまらない……いえ、とりあえず一安心。
…それにしても、こんな夜中に一体何のお話をしているのでしょうか？
『ああでも、ここの病院は立地がいいね。
病室から海も見えるし……きっと景色が最高なんだろうなぁ』
『評判も良いし、信頼も厚い。
ここなら安心して、手術を受けられるでしょうね』
病院…？
病室……？
手術………？
誰か、病気の方でもいるのでしょうか…？
だとしたら、それは一体……？
『…それで、このことは彼女にはまだ…』
『ええ、黙っていてちょうだい』
彼女…？
それは一体、誰を指し示しているのでしょうか？
話を聞く度に疑問が湧き出て、私は2人の話を聞きながら頭の中で皆帆君のように推測してみた。
『でも…彼女も可哀想だよね。
お見舞いに行けないだなんて……』
『仕方ないじゃない。
彼方からの申し出なのだから…
それに聞いた話だと、もうあまり長くないんですって』
『そう…じゃあ、逆に会ったら辛くなっちゃうかもね』
『きっと、“古城さん”もそう思っての判断でしょうね』
……ん？
今、瞳子さんは何と言いました？
…古城、さん？
私と、同じ名字の………
『…そっか……確かに“A”がこの話を聞いたら、大変な事になりそう…
彼女、お父さんの事とても慕っていたから…』
ヒロトさんのその一言で、私の頭が一瞬で真っ白になる。
さっきまで、疑問だらけだったのに、真っ白に。
……え……嘘……
……“あの人”が……
“お父さん”が………？
「っ…！！？」
頭の中で先程の疑問が綺麗に、カッチリと組み合わさり、私は思わず頭を抱えた。
ふらりと体が倒れそうになるのをなんとか持ち堪えて、私は静かにその場に膝をついた。
…とりあえず、一度部屋に戻りましょう。
私は少々早足気味で、それでも音を立てないように階段を上り、部屋に向かってすぐベッドにダイブした。
結局、その日は一日中、全く眠れませんでした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 87人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
修季(プロフ) - ＊IJu＊さん» あ、やっぱり← 私ね、とある授業で空見てたら先生に「好きな子でも出来たかい？」って言われて吹いた。 (2015年8月9日 23時) (
レス) id: e03a3511de (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 修季さん» あ、ごめんもうダメだ僕(´･ω･`)← 既にやってる常習犯(´･ω･`)←← (2015年8月9日 0時) (レス) id: 4f6a541d49 (このIDを非表示/違反報告)
修季(プロフ) - ＊IJu＊さん» 授業中は寝てるか妄想してるかのどっちかだからw ※良い子は真似してはいけません。良い子じゃなければ真似していいよ★ (2015年8月6日 17時) (レス) id: e03a3511de (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 修季さん» マジか羨ましい(´･ω･`) 仕方ない、寝るのは仕方ないよ← (2015年8月6日 11時) (レス) id: b02a163c50 (このIDを非表示/違反報告)
修季(プロフ) - ＊IJu＊さん» でも、私頭良いほうなんだよ(笑) どうも、地学と化学が難点だけど…… でも、授業中寝てるから内申点やばい←← (2015年7月29日 8時) (レス) id: e03a3511de (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
